数々の映画音楽ヒットで日本でも人気の高かったアンディ・ウィリアムスが、9月25日、他界した。80歳を超えてからも、ミズーリ州ブランソンに建つ「ムーンリバー・シアター」でコンサート活動を続け健在ぶりを示していたが、昨年から膀胱ガンを患い闘病中だった。

紅白歌合戦にも出場したアンディ・ウィリアムス

「アンディ・ウィリアムス・ショウ」のLP

 1960年代から70年代初めにかけて、毎年トップ10入りするヒットアルバムを発表し続けていたアンディの代表作と言えば、「ムーンリバー」。

 映画『ティファニーで朝食を』(1961)のなかでオードリー・ヘプバーンが歌い、アカデミー歌曲賞を獲得した名曲である。

 その後多くの歌手が取り上げるなか、アカデミー賞授賞式でも歌ったアンディが、同年9月から始まった「アンディ・ウィリアムス・ショウ」のテーマ曲としてから、一層親しまれるようになったものだ。

 日本でも「クワイ河マーチ」などで知られるミッチ・ミラーがホストを務める「ミッチと歌おう(Sing along with Mitch)」の後番組として、1966年1月から日曜午後1時に放送が開始され、67年4月には来日も果たしたことで、日本での人気は一気に高まった。

 米国での最後のトップ40ヒットとなったのも『ゴッドファーザー』(1972)愛のテーマ、と映画音楽。日本でも大ヒットとなったこの曲は、同時に作曲者ニーノ・ロータの演奏版、そして先日他界した尾崎紀世彦が歌う日本語版までもがヒットした。

アンディの異色ヒット曲「リパブリック賛歌」

Chicago Transit Authority」は社会性の強い作品

 1950年代から70年代初めにかけ、日本の洋楽ヒットチャートには、ポール・モーリアなどのイージーリスニング・オーケストラや映画音楽が数多く登場していたこともあって、日本でのアンディの人気は高く、91年には紅白歌合戦にも出場、2006年までたびたび来日公演を行ってきた。

 ソロアーティストとしてのゴールドアルバム数で、当時、フランク・シナトラやエルビス・プレスリーなどの超大物と肩を並べるほどの売れっ子ぶりだった。

 映画やブロードウェイミュージカルの有名曲をレコーディングすることが多かったアンディにも、もちろんオリジナルヒット曲は数多くあるのだが、そんななか異色とも言えるのが1968年のヒット「Battle hymn of the republic(リパブリック讃歌)」。

 以前「世界を荒廃させた『昇格』大統領の決断」でもご紹介した「glory, glory, hallelujah」と歌う米国の愛唱歌である。