今年2月29日、公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会の会合で、私は今年の注力テーマとして「Cooking Big Data ~マーケティングの新しい時代へ」を宣言した。

 その後も、Big Data に関する考えはさまざななところで目にする。このキュレーションサイトで横山隆治さんが「ビッグデータ時代のチャンスとプライバシーリスク」を書いたり、ネットイヤーグループ社長の石黒不二代さんも「ビッグデータの革新性」(日本経済新聞 8月25日7:00配信)という記事を発表している。

 石黒さんの記事は、マーケティングの領域でビッグデータが有益なことを簡単に説明していて分かりやすい。私も、このビッグデータについては、前回「勘から客観判断へ、激変するマーケティングの世界」で書いたが、今回は、なぜビッグデータの活用を進めるのか、どうやって進めるのかをまとめてみたい。

「勘ピューター」から「コンピューター」へ

記者はもう要らない?データから記事を自動作成、米報道の最前線

米国では、コンピューターアルゴリズムを利用して自動生成された記事もある(2012年7月9日撮影)〔AFPBB News

 これだけコンピューターが普及した時代、このキュレーションサイトも多くの方が、コンピューターで読まれていることであろう。

 実はこのページを皆さんにお届けるためには、コンピューターが一生懸命、みなさんが気がつかない速度で演算をしている。HTMLでプログラムされたWebページをインターネットエクスプローラーのようなブラウザが理解し、コンパイルして画面表示を行っているのだ。

 このように、コンピューターの重要な特徴として、演算・計算の機能がある。そして、その能力は非常に高くなっている。

 プログラミング言語を知らなくても、エクセルのようなソフトを買えば、計算やシミュレーションが可能である。また、このようなソフトも Apache OpenOffice(アパッチ オープンオフィス)のように、もはや無料でも導入可能になった。

 ところで、マーケティングに携わっている人は、コンピューターに何か計算させた経験はあるだろうか? もちろん、売り上げや予算の集計に使ったという人は多いだろう。

 では、マーケティングプランの判断にエクセルを使った人はどうだろう? まだ、自分の頭脳の中の勘に頼ることが多いのではないだろうか。