有機野菜作りから、エコ埋葬へ
この埋葬技術を開発したのは、スウェーデンで生れ育ったスーザン・ウィーグ-メサクさんだ。

(画像提供Promessa Organic)
スーザンさんは大学で生物学を専攻、卒業後すぐに結婚した。趣味の有機菜園で野菜や花を育てる傍ら、結婚3年目から石油化学会社に勤務していた。
やがて、スーザンさんの野菜作りの趣味を知った会社の同僚からのリクエストで、スーザンさんは毎日のように自家菜園で育てた野菜や花の苗を会社に持って行くようになった。
入社して15年が経って「これこそが本当に私のやりたかったことだ」と気づいたそうだ。勤務先を退職し、すぐに、グリーンハウスを購入して店舗も作り、手作りの有機生鮮品を売るビジネスを始めた。
実は、スーザンさんは以前から、死んだ後は自分の遺体を肥料にしたいと考えていた。ただ、その話を友人や同僚にすると、「そんなことは無理でしょう」と真剣にとりあってもらえなかった。
しかし、土に触れ、枯れた草木や生ゴミを処理して植物を育てることを仕事にするようになると、「遺体を土に還すことも、尊厳のある埋葬の仕方だ」とますます確信するようになったという。
食品会社の実験室を借り、専門である生物学の知識もフルに活用して、フリーズドライ技術について実験を繰り返した。様々な業種の人たち1000人に技法のアイデアを披露したところ、否定的な意見を言ったのはたった2人だけだった。スーザンさんは勇気づけられて、第2の起業「埋葬業」に踏み切る決心をした。
「起業を一歩一歩、ゆっくりと進めてきましたが、人の死に関わることだけに、じっくりと時間を掛けたことがやはり良かったかもしれない。私たちは、本当に重要なことを変えようとしているのです」とスーザンさんは言う。
日本からの問い合わせはなし
スーザンさんは、韓国での事業化を進めるにあたって、多くのことを学んだという。その経験を通じて、「最初は批判を受けることもあるかもしれませんが、私たちが開発した凍結乾燥技術を使った新しい埋葬法は、将来、世界の大きな潮流になるかもしれない」と期待をかける。
今のところ、プロメッサ社には日本の葬儀関連業や団体からの問い合わせはないそうだ。
しかし、日本では人口が集中する都市部で墓不足が深刻化する一方で、地方では少子化・過疎化で墓が荒廃するなど、従来の墓制度が維持できなくなってきている。近い将来、樹木葬や海での散骨に続き、日本でも、「自然に優しい」「自然に還れる」埋葬法として受け入れられる日が来るかもしれない。