北米報知 2012年8月8日33号
シアトル市内のワシントン大学植物園にたたずむ日本庭園。建設50年を過ぎ、当地の「隠れた財産」を維持すべく、地元有志とボランティアたちが維持支援活動を行っている。
茶道裏千家の松声庵での茶会、日本の伝統行事や慣例にならった定期的な日本文化イベントが催される日本庭園。季節ごとに異なる姿をみせる自然の景観は、当地における「文化財産」として評価が高い。
庭園維持には16名による評議会や、約75名が参加するボランティアグループ「ユニット86」が活動している。
20日には3年目を迎える評議会主催のファンドイベントが実施され、約250名が庭園に集まった。移籍前のイチロー外野手のサインボールをはじめ、支援者から出品されたオークションが行われ、4万6000ドルの寄付が集まった。
評議会としてイベントに携わった松森アンダーソン伸子さんは、「シアトルで貴重な文化を保つ場。一緒に大切に育ててくれた日本庭園を、力を合わせて文化として残していきたい」と話す。
初めて足を運んだ参加者からは、苔の生え方など、本格的な日本庭園の姿に感銘の声が上がった。太田清和総領事は、日本庭園が米国生活内の「憩い」と新たな「活力」を与える貴重な存在であることに言及、景観維持の活動に尽力してきたボランティアに謝意を表した。
当地では1909年のアラスカ・ユーコン太平洋博覧会における日本展示で紹介されるなど、日本の対外アピールとして日本庭園は世界各所で建築が進められてきた。