暑い夏もあともう少し。朝晩は、少しばかり過ごしやすくなってきた。そして、(関西電力大飯発電所の原発は動いているものの)電力不足も起こらず、原発ゼロでもやっていけるとの意を強くした方も多いのではないだろうか。
猛暑で米国の原発がダウン
そんななか、暑さで米国の原発が稼働停止とのニュースが入ってきた。冷却水に使っている海水が高温になったためだという。その程度の「想定外」の事態でダメと言われると、少々心細くなってくるが、それほどに今年の米国は記録的な猛暑となっている。
乾燥し切った西部では、この10年間で最悪と言われる大規模な山火事が起きている。
消火活動は困難を極めているようだが、ただでさえ暑い中、消火にあたることがいかに大変かは、スティーブン・スピルバーグ監督作『オールウェイズ』(1989)を見れば理解できる。そして、今年すでに11人が殉職している大変危険な職種なのである。
米国人開拓の地、西部は、20世紀には潤沢な水で大都市を作り上げ、周辺の砂漠地帯にも多くの衛星都市を生み出してきた。
しかし、先住民アナサジ族も、いまや世界遺産に登録されているメサ・ヴェルデ国立公園(コロラド州)に残る住居を干ばつのため放棄したと言われているほど、もともとは乾燥した土地だった。
1930年代並みの干ばつが予測されている米南西部
欧州人がやって来る前、コロラド川流域はひどい干ばつ続きだったことも判明している。
そんな西部では、1980年代末から山火事が頻発するようになり、被害も大きなものとなっていった。その原因はラ・ニーニャ現象と言われているが、地球温暖化による悪化を指摘する向きもある。
特に南西部では乾燥化が進み、21世紀半ばには、1930年代中西部を襲った干ばつ並みの気候になるとの予測もある。
大恐慌に苦しむ農民たちにさらなる苦難を強いることになった不毛の時代、労働者たちの生活を唄った伝説のフォーク歌手の物語『ウディ・ガスリー/わが心のふるさと』(1976)には、やせ細った土壌が舞い上がる「ダストボウル」と呼ばれる砂嵐の映像がある。
こんな世界が再び訪れると言うのか。