縁があって過日、インドネシアのエリート養成学校(3年制の高校)の創立20周年の記念式典に参加する機会を得た。スマトラ島のバリゲに所在するヤヤサン・ソポスルング(YAYASAN SOPOSURUNG)校である。整斉かつ熱意のみなぎる式典並びに本校設立の目的と経緯、そして実情は大変興味深いものがあったので、紹介する。
大物の政財界人によって設立された学校
本校は、1992年に2人のインドネシア政・財界の大物によって設立された。1人は、シララヒ(T.B.Silalahi)元陸軍中将であり退役後は、スハルト政権下1993年から1998年にかけて政治改革担当大臣として手腕を発揮、大統領の厚い信任を得た。
ユドヨノ現政権においても、大統領顧問会議委員・中東問題担当大統領特使・安全および軍に関する顧問など等の任にあり、ユドヨノ大統領が最も信頼するアドバイザーであり、側近中の側近と言われている。
出身地であるバタク地方(北スマトラ州)の子供たちが貧しさゆえに高等教育を受けられないことに心を痛めていたシラヒヒ将軍は、無償で教育することを思い立った。
開校から現在に至る経緯の中でその思いはさらに進展して、入学対象も全国に広がり、厳しい選抜試験に合格した生徒にスカラーシップを与え、次世代のインドネシアの政治・経済を担う真のリーダーを育成することを目的としている。
シラヒヒ将軍の思いに同調し協力したのが、インドネシアの大財閥アータ・グラハ銀行グループの総帥トミー・ウィナタ氏を始めとした財界首脳である。
シララヒ将軍が私財を投じて設立した財団法人ソポスルングが主体となり学校の諸施設を建設し、教育省との折衝・協力によりカリキュラムや教員の充実を図ってきている。
本校は全寮制であり、当初は無償であったが現在は生徒の親が任意で費用を負担している。
本校の目的は「次世代のインドネシアの政治・経済を担う真のリーダーを育成する」ことであることは既述したが、この目的を達成するために、段階的にいくつかの項目に考え方がまとめられている。