今回のスマートフォン活用術は、GPS(Global Positioning System=全地球測位システム)を活用した便利な使い方をご紹介します。

世界規模で収集されている無線LAN基地局情報

 GPSと言えば、人工衛星を用いたものが1980年代に登場し、カーナビゲーションシステムを中心に活用が広がったことはご存じのことと思います。

 このGPSは、複数の人工衛星と通信して現在の位置を測位する方式でしたので、空が広く開けていて、複数の電波が届く場所でしか使用できませんでしたし、測位までに時間がかかっていました。

 2000年代に入り、各企業や家庭などに設置された無線LAN基地局の情報を使用して場所を測位する方法が開発され、世界規模での基地局情報の収集が始まりました。しかし、この時はいくつかの事業者が移動型の測定器を使って情報収集していたので、情報の新鮮さや精度の点では満足のいくものではありませんでした。

 そこにスマートフォンが登場しました。アイフォーン(iPhone)やアンドロイド(Android)などのスマートフォンは多くがGPSアンテナ(人工衛星用)を備え、さらに無線LANアンテナも備えています。それが稼働した状態で人々が町中を移動するわけです。

 ここに着目した米アップルやグーグルは、全世界の利用者のスマートフォンから、
(1)GPSによる位置情報と、(2)そこで利用可能な無線LAN基地局の情報を、
自動的に吸い上げる仕組みを作り上げました。

 この仕組みを始めるにあたり、アップルやグーグルから大々的な告知が行われたわけではありませんでしたので、あとでその事実を知った利用者が反発して、訴訟を起こすという事態が発生しました。

 しかし、その後も告知の改善などを行いながら、世界規模で無線LAN基地局の位置情報が日々収集され、更新されています。

車社会米国、iPhoneアプリで「ねずみ取り」も楽々回避?

スマホのGPS機能を活用し、速度違反取締り装置などをアラートで知らせる米国のiPhone用アプリ〔AFPBB News

 これらの情報を使用して、今のスマートフォンは非常に高い精度で現在位置を測位することが可能になっています。

 地下街など、GPSの電波が届かないところについても、どのような方式で位置情報と照合しているのか不明なのですが、かなり高い精度で測位可能になっています。

 つまり、今のスマホにはカーナビ以上に高性能なGPSが入っていると言えるのです。

※本来、GPS(Global Positioning System)という言葉は「人工衛星を使用した位置測位システム」のみを指すと思いますが、この文章においては便宜上「無線LAN基地局の情報を使用した位置測位システム」も含めて「GPS」と総称いたします。