以前もご紹介しましたが、政府は平成20(2008)年に「留学生(受け入れ)30万人計画」という、2020年までに年間30万人の留学生を受け入れる施策を策定し、それなりの予算を割り当てて取り組んでいます。
送り出しは「和僑」につながる
一方、送り出しについては後手に回っていることが否めず、もっとその必要性が社会に認知されるべきだと思います。
例えば、「井の中の蛙」状態で平和ボケした人材よりは、海外で揉まれて帰国した人材の方が、あふれるバイタリティで日本を元気にしてくれるでしょうし、仮に海外で就職したり起業したとしても、利益を日本へ還元することで国益につながります。
いわゆる「和僑」として、限りある国内市場ではなく海外の大きな市場で稼いで日本へバックするという発想も大切だと思います。韓国などはまさにそういうスタンスです。
実は送り出し施策についても、あまり知られていませんが、受け入れ策同様に「30万人計画」なるものが平成22(2010)年の国家戦略として「新成長戦略―21の国家戦略プロジェクト」の1つに盛り込まれています。
ただし若干ニュアンスが異なり、2020年までに実現すべき成果目標として「日本人学生等の海外交流30万人」と抽象的な表現になっています。
それと併記されている「外国人学生30万人受け入れ」とは温度差を感じますが、それでも政府が送り出しを推進する姿勢を明確に表したことは大きな進歩と言えます。
その兆しとして、送り出しに関する平成24(2012)年度の予算案は約81億円となっています。主な内訳は大学における「グローバル人材育成推進事業」50億円(平成24年度新規)、「日本人学生の海外留学の推進」31億円です。
海外で市場開拓できるタフな人材を育成するために、若いうちに海外を経験させておくことは大きなアドバンテージになります。人材育成では経験が最も重要ですし、特に異文化の受容、適用能力は30代を超えると一気に落ちると言われています。