2012年12月には韓国で5年に1度の大統領選挙が実施される。国内ニュースも政治一色だが、同時に現政権の「実力者」たちが相次いで逮捕されている。5年の1度の大粛清も始まったのだ。
2012年5月7日、韓国の大検察庁(最高検察)中央捜査部は、朴永俊(パク・ヨンジュン)元知識経済部第2次官(51)を逮捕した。ソウルのトラックターミナルの再開発事業に絡んで、許認可の請託の対価として1億7000万ウォン(1円=14ウォン)を受け取った斡旋収賄の容疑だ。
同じ事件で4月30日には、崔時仲(チェ・シジュン)前放送通信委員長(閣僚=74)も逮捕されている。
李明博大統領の兄の後押しで現政権で力を振るった2人
2人は、そろって李明博(イ・ミョンバク)大統領(70)を支える最側近メンバーだった。
崔時仲氏は、放送通信委員長として現政権の大きな課題だった総合編成チャンネルというテレビ局の選定を手がけた。メディア業界に大きな影響力を持つ実力者だった。
朴元次官は、猛烈な仕事振りで李大統領の信任を得て、現政権で大きな力を振るった。
2人の共通項は、李大統領の実兄で現政権最大の実力者と言われた李相得(イ・サンドク)議員(議員任期は5月末まで=76)と近く、実兄の強い後押しがあったことだ。
崔時仲前委員長は、ソウル大政治学科卒後、東亜日報の政治記者や政治部長を歴任した後、世論調査会社の会長に転じた。
政界に幅広い人脈を持っているが、李明博政権で実力閣僚の地位を得た最大の理由は、何と言っても韓国東南部の慶尚北道浦項(ポハン)近くの迎日(ヨンイル)出身で、李相得議員と「同郷の関係」できわめて親しかったことだ。李相得氏が、崔時仲氏を「大統領の政治相談役兼メディア担当責任者を務める現政権の重鎮として送り込んだ」(韓国紙デスク)と言われる。
朴元次官は、現政権では「大統領の信任を得て人事を取り仕切った人物」として恐れられた。その経歴は興味深い。大統領と同じ高麗大学を卒業した朴元次官は、IMF危機と呼ばれた通貨・経済危機後に解体された大手財閥・大宇のサラリーマンだった。