北朝鮮「南北対話の全面中止」へ、韓国「先制攻撃」発言で

国内外で評価が大きく異なる李明博大統領〔AFPBB News

 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領ほど国内と海外での評価が異なる指導者も珍しいだろう。

 韓国経済は、いち早くリーマン・ショックを乗り切り、引き続き底堅い成長を続けている。大企業の業績も好調で、世界市場で韓国を代表する製品がシェアを伸ばし、国家ブランドの向上にも寄与している。

 「CEO大統領」として賞賛を浴びることも多いが、国内では「経済失政」の強い批判にさらされている。

 その最大の原因は、「一部の大企業ばかり優遇した」と見られていること。経済格差の拡大が、「大統領は庶民経済が分かっていない」との批判を呼んでしまった。年末の大統領選挙を控え、野党はもちろん、与党や政府内部からも「親大企業政策」からの転換を求める声が上がっている。

 そこへまた1つ、行き過ぎた「親大企業政策」への批判が浮上している。それも政府内部からの批判だ。

民間セメント会社の借金返済のために公社が1500億ウォン貸し付け

 韓国の監査院は、2012年5月24日までに、海外資源開発に関連した公社・政府機関の実態調査を公表した。この中で、韓国鉱物資源公社が民間企業である東洋セメントに対して、銀行などからの借入金返済などのために1500億ウォン(1円=14ウォン)を貸し付けていたことを明らかにした。

 民間企業の借金返済のために、なぜ公社が資金を貸し付ける必要があるのか。これだけでも不自然だが、もっとおかしいのは、同公社があり余る資金を持っていたわけでもなかったことだ。直前に、社債まで発行して資金を確保し、これを貸し付けていたと見られるのだ。

 監査院は、同公社がこの前年に、保有していたマダガスカルのニッケル鉱山の開発権の一部をサムスン物産や現代重工業に「格安」で売却していたことにも疑問を投げかけている。

 韓国鉱物資源公社は、もちろん政府機関で、主に海外で石炭、ウラン、ニッケル、亜鉛などの開発にあたっている。

 監査院の調査を受けて、今後、政府や場合によっては捜査当局の手により、資金の貸し付けが同公社法に照らして適当な行為だったのか、また、開発権の売却額が適確だったのかなどの解明が進むはずだ。