日本では連日のように首都直下型地震に関する報道が続いている。東京都は先ごろ、首都直下で東京湾北部地震が起これば、都内約30万棟の建物が全壊・焼失し、約9700人が死亡するとの想定を発表した。
直下型地震に襲われれば、行政機関の建物も当然被災する。東日本大震災では、町役場ごと津波にさらわれるというケースもあった。行政機能が失われると、その後の復興に多大な支障をもたらす。
「対口支援」で四川大地震から復興
被災した自治体の復興スピードを加速させる方法の1つが、中国式の「対口(たいこう)支援」だ。中国の四川大地震で広く知られるところとなった「対口支援」の日本版の普及が待たれている。
中国の「対口支援」とは「1対1の支援」とも訳され、発展した沿岸部の省や直轄市が、経済発展が遅れる内陸部の地方を1対1で支援するモデルだ。
兄が弟を助けるという発想の、この特色ある“助け合いモデル”は、1970年代から導入が始まった。内外から注目を集めるようになったのは、2008年5月に発生した四川大地震がきっかけだ。四川大地震では19の省や市が、被害の大きかった県や市を支援し、スピーディな復興を可能にした。
四川大地震の場合、ブン川(ぶんせん:ブンの字はさんずいに「文」)県を広東省が、北川県を山東省が、青川県を浙江省が、綿竹県を江蘇省が、都江堰市を上海市が、というように、それぞれペアをつくって支援を行った。支援の内容は資金提供、物資の生産や供給、管理人員の派遣などを中心に、住宅の再建や、学校、病院などの復興も含まれている。
中央政府が強制的に支援体制を構築するといういかにも中国らしいやり方であるが、震災から2年経っていない四川省で立ち上がった対口支援プロジェクトは実に約3300に上り、720億元の資金が集められることになった(2010年3月時点)。
地方政府には財政収入の1%を毎年支援に充てることが要求され、例えば、広東省の2007年の財政収入は2785億元、そのうち27億元をブン川県に提供している。