米グーグルは5月14日、独自開発した同社ブランドのスマートフォン「ネクサス・ワン(Nexus One)」の直販を取りやめ、ほかのアンドロイドOS搭載端末と同様に通信キャリアの小売りチャネルを通じた販売方式に切り替えると発表した。

 今後販売網を拡充した後、現在ウェブサイトで行っている直販を終了する。

理想掲げるもキャリアの賛同得られず

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米グーグルのスマートフォン「ネクサス・ワン」〔AFPBB News

 同社は今年1月5日、携帯電話の販売方法を変えるという理想を掲げ、通信キャリアを介さずに端末を販売する独自の戦略を展開。端末を通信サービスの契約と切り離して購入できるようにした。

 顧客が、サービスプランなしの端末を購入し、好きな通信キャリアのSIMカードを挿して利用できるようにしたほか、グーグルが提携するキャリアの通信サービスに契約し、端末の本体価格を安くしたりできるようにした。

 端末とサービスプランを自由に組み合わせられるようにし、消費者に自由な選択肢を与える、というのが同社の信念だった。

 しかし、取り組みの開始からわずか4カ月。同社の戦略は失敗に終わったようだ。アンドロイドOS開発担当のアンディー・ルビン氏は14日付の公式ブログで、「アンドロイドOSが様々な端末に採用されていることや、ネクサス・ワンを通じてもたらされた技術革新について満足している」としたうえで、次のように述べた。

 「これらは我々の予想を超えたが、ネクサス・ワンのネット直販はそうならなかった」

 また、同氏は「顧客の多くが購入前に実際に手に取って検討したいと考えていることは明らかだ」とし、ネット直販の失敗を認めた。今後は、ネクサス・ワンの直販サイトをアンドロイド端末の“ショーウインドウ”に変更すると説明している。

 グーグルがネクサス・ワンのサービスで提携した米国の通信キャリアは、同国第4位のTモバイルUSAの1社だけだった。

 ネクサス・ワンの端末販売価格は529ドルだが、TモバイルUSAと2年間の通信契約を結んだ場合、いわゆる補助金が適用され、本体価格が179ドルからとなる。グーグルは当初こうした提携キャリアが増えると見込んでいたが、交渉はうまくいかなかった。

 当初、米国1位のベライゾン・ワイヤレスや、同3位のスプリント・ネクステルがグーグルとの提携を計画していたが、両社は計画を見送ったと欧米のメディアは報じている。通信キャリアは自ら販売の主導権を握りたいと考えており、グーグル主導の手法には賛同しなかったというわけだ。