先週、北朝鮮が4月に「衛星」を打ち上げると発表した。これは弾道ミサイルの発射実験と見られ、周辺各国が警戒を強めている。
日本政府は、これに備えて地対空誘導弾パトリオット「PAC3」の発射機や、レーダーなどの関連装備を沖縄本島と石垣島に配備することを検討している。
これには、田中直紀防衛相が21日の記者会見でパトリオット「PAC3」を海上自衛隊哨戒機の「P3C」と言い間違えるという残念なオマケまでついた。軍事オタクでなくとも、これくらいは日本人の常識なのに。
ミサイル1発で日本が崩壊?
今週のページビューランキングで2位になった『笑止千万!北朝鮮が「脅威」のわけがない』 は、この北朝鮮によるミサイル発射をテーマにしている。
著者の古是三春(ふるぜ・みはる)氏は、これまで北朝鮮がノドンやテポドンなどの弾道ミサイルを発射した時のことを振り返り、ミサイル1発で日本が崩壊するかのようなマスコミ報道や軍事専門家のコメントにはうんざりさせられることが多いと述べている。
共産圏の軍事史、軍事技術史について執筆活動をしている古是氏は、「北朝鮮が北東アジアの安全保障情勢を揺さぶる存在であり続けていることを否定しない」としながらも、次のように論じている。
「特定の兵器がいかに強力な大量破壊兵器の範疇に入るものであり、それをある国家が保有したとしても、それだけでその国家が真の軍事的脅威となり得るわけではない。軍事行動は開始と共に「終了」のシナリオなしには始められるものではなく、それはミサイル1発を撃って終わる話ではないからだ」
北朝鮮について「情報が乏しい」というのも俗説で、それを利用したマスコミが「脅威」としての北朝鮮の虚像を作り上げているというのも古是氏の主張だ。そして、「クロか、シロか」という短絡的なマスコミの報道が、国民の判断に影響を及ぼすことに懸念を示している。
大手メディアの姿勢については、昨年の東日本大震災以来、特に原発事故関連の報道で、不満と不信感がネットユーザーを中心に高まった。昨年3月の震災直後に公開した烏賀陽弘道氏の『頼れるどころか、もはや「有害」な日本の震災報道』が大ヒットコンテンツになったことが象徴的な事例だ。
その後も、奇跡の一本松についての横並びの新聞記事や、取材内容を自分たちのシナリオに合うように当てはめるだけのマスメディアへの不信を語る福島の被災者など、烏賀陽氏の一連の記事は読者の関心と共感を得た。