2011年7月、出張先の福岡空港で、霞が関の官庁で働くX氏とばったり出会った。「こんなところでどうしたの!?」――互いに驚き、声を出さずにいられなかった。
上海に駐在していたことのあるX氏は、いわば「戦友」である。日本の地方空港で出会うとは思いもよらぬことだった。
聞けば、韓国の「麗水(ヨス)万博」(正式名称は「2012麗水世界博覧会」)がらみの仕事で福岡に来たという。筆者はその時、2012年5月に韓国南部の港湾都市、麗水で万博が開催されることを初めて知った。
李明博大統領にとって麗水万博は「どうでもいい」?
2010年、上海万博が開催されたが、それは接戦の末、中国が韓国を相手に競り落としたものだった。韓国にとってはそのリベンジとも言える万博である。これを機に海洋立国・韓国を全世界に向けてアピールする狙いでもある。
5月12日の開幕まで2カ月を切った。ところが、なぜか韓国では盛り上がらない。
その理由の1つは、この万博が「認定博覧会」だからだ。認定博覧会は、2008年にスペイン・サラゴサで開催されたサラゴサ万博(正式名称は「サラゴサ国際博覧会 」)に続き、麗水万博で2回目となる。
BIE(博覧会国際事務局)は、5年に1回開催する大規模なものを「登録博覧会」、小規模なものを「認定博覧会」と大別し、後者には開催期間を3カ月以内、会場面積を25ヘクタール以内という制限を課している。
麗水万博は、どうしても「小ぶり」な印象が否めない。上海万博が登録博覧会であり、328ヘクタールと会場規模を広げたのと対照的である。
盛り上がりに欠けるのは、麗水万博が「認定博覧会」だからという理由だけではない。
2012年12月、韓国では大統領選挙が行われる。選挙を控える李明博大統領にとって、万博成功はそれほど重要な意味を持たない。