中国最大規模の雇用主と言われる富士康科技(フォックスコン)が、急速に変化する中国の経済、雇用環境に対応するため、ビジネスモデルの改革を迫られているようだ。複数の海外メディアによると同社は2月18日、従業員の給与を引き上げるなど労働環境を改善すると発表した。

従業員100万人超の巨大生産工場

自殺者続出の中国工場、7割賃上げへ

フォックスコンは中国最大規模の雇用主と言われる〔AFPBB News

 賃上げ率は16~25%で、1人当たりの月給は1800~2500元(約290~400米ドル)になり、これは同国の最低賃金よりも高い水準。同社は併せて残業時間の短縮についても明らかにした。

 富士康科技は、台湾の鴻海精密工業が傘下に抱えるEMS(電子製品製造受託サービス)大手で、米アップルの「アイフォーン(iPhone)」や「アイパッド(iPad)」をはじめ、米デル、ヒューレット・パッカード(HP)といった大手パソコンメーカーの製品も手がけている。

 同社の従業員数は100万人とも120万人とも言われるが、米ウォールストリート・ジャーナルによると、そのうち40万人が富士康科技の中国・深セン工場で働いている。

 この工場では2010年から2011年にかけて、若い工員の自殺が相次いだり爆発事故で工員が死亡したりしており、その労働環境や管理体制などを巡って米国の人権擁護団体などがアップルなどの米企業側にも社会的責任があるとして非難していた。

アップル、批判受け、第三者機関に調査を依頼

 こうした批判を受け、アップルは今年1月半ばに米国の非営利団体「公正労働協会(Fair Labor Association:FLA)」に加盟し、同社に関わる中国企業の労働環境など監視していくと発表。2月に入ると同団体がアップルの依頼を受け、富士康科技の深センと成都の工場を調査することも明らかにした。

 今回の富士康科技の労働環境改善に関する取り組みは、こうしたタイミングで発表されたというわけだ。公正労働協会(FLA)は既に「フォックスコン・シティー」と呼ばれる富士康科技の深セン工場を調査しており、3月初旬にも最初の査定結果をウェブサイトで公開する予定だ。