経済発展が急激に進む中国都市部では、近年環境汚染が深刻化し、環境問題は都市部における住民の重要な関心事となっています。

 中国政府もこうした環境悪化に少しでも歯止めをかけようと、近年環境保護に関する政策や省エネ・新エネルギーの利用を推進するエコシティの建設を積極的に進めています。

 今回は、中国で開発が進むエコシティの建設について報告します。

江蘇省で進むエコシティの建設プロジェクト

中国一裕福な村に高層ホテルオープン、高さ328メートル

江蘇省の華西は「中国一裕福な村」と言われる。写真は華西村にある地上328mの高層ホテル〔AFPBB News

 筆者は2011年末、江蘇省で開発中のエコシティの視察に行ってきました。現在は、開発用地の半分以上が依然更地となっていますが、将来はオフィスや商業施設のほか、人口3万人が居住する住宅エリアとして整備される予定です。

 同プロジェクトは政府系デベロッパーが中心となって開発しており、エリア内の建築物は、すべて一定の環境排出基準を満たした建物のみが建設されています。

 排出基準を満たしている物件としては、(1)断熱ガラスや省エネ建材などエコ製品が数多く使用されている(2)太陽光発電システムのようなクリーンエネルギーが利用されている――などが挙げられます。

 また、プロジェクト内の道路に設置されている街路灯は、すべてLED(発光ダイオード)が使用されており、従来の街路灯に比べかなりの節電効果につながると期待されています。

 同プロジェクトの開発は、1990年代から計画されていたにもかかわらず、途中開発資金不足に陥り、工事が一時ストップしていました。

 しかし、近年の環境保護政策が追い風となっていることに加え、近年の不動産価格の上昇により、デベロッパー(地方政府)も資金力が豊富になっていることから、ストップしていた開発が再開されているケースが増えています。

 江蘇省の同エコシティも2009年から開発が再開され、すでに完工している住宅プロジェクトもいくつか出てきています。

中国で建設中の主なエコシティ

 ジェトロ北京によると、2011年3月時点で中国全土で建設されている主なエコシティ(開発ストップ中のプロジェクトも含む)は計22カ所に上ります。