米国半導体工業会(SIA)が1月2日までにまとめた最新の半導体市場調査によると、昨年11月の世界半導体売上高は251億3000万ドル(3カ月の移動平均)で、1年前から3.1%減、前の月から2.4%減となった。

タイの洪水と欧州の債務問題が影響

ホンダ、タイ洪水で被災1000台を廃車に

タイの洪水ではHDDメーカーだけでなく自動車産業にも被害が大きかった。写真は水を被った1000台の新車を廃棄することにしたホンダ〔AFPBB News

 年初来ベースでは前年比0.8%増、3カ月前からは0.2%増と若干増えており、SIAのブライアン・トゥーイー会長は、「メーカーは生産の遅れをこの先数カ月のうちに取り戻せると見ている」と述べている。

 とはいえ、やはりタイの洪水によるハードディスク駆動装置(HDD)サプライチェーン(部品の調達・供給網)の寸断や、欧州の債務問題に起因する景気低迷は業界全体に大きな影響を及ぼしているようだ。

 米国の市場調査会社ガートナーによると、2012年におけるパソコン生産台数の前年比伸び率は従来予測の10.1%から5%に低下する見込み。

 HDDの供給不足でパソコン市場の成長が鈍化するというのがガートナーの予測で、同社はHDD業界全体が本格回復するまで今後数四半期にわたってパソコン生産が抑制されると見ている。

今年中に60種のウルトラブックが登場

 こうしてパソコン販売の低迷が懸念される中、メーカー各社は今年「ウルトラブック(Ultrabook)」と呼ばれる、HDDを搭載しない次世代型のノートパソコンに期待していると米ウォールストリート・ジャーナルが伝えている。

 それによると、多くのメーカーが来週(1月10~13日)米ラスベガスで開催される国際家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」でウルトラブック市場への参入を発表し、今年中に合計60種類のウルトラブックを市場投入する見通しだという。

 このウルトラブックとは、特定メーカーによる特定ブランドのパソコンではなく、半導体大手の米インテルが昨年5月に提唱した消費者向けノートパソコンのことだ。同社の高性能・低消費電力マイクロプロセッサーや、HDDに代えて半導体ディスク(SSD)を搭載する薄型・軽量のノートで、起動の速さや、バッテリー駆動時間の長さなどを特長としている。