【お断り】JBpressのメールマガジン「Business Agenda」が2010年1~3月に連載した「私のメディア活用法」から抜粋し、編集したものです。
金山勉・立命館大学産業社会学部教授(マスコミ学)
私のメディア活用法(3)
自宅で地元の京都新聞と英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)を購読している。大学にはほとんど全紙が揃っており、毎日目を通す。自分の興味のあること、とりわけ海外関連はインターネットでチェックする。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は有料バージョンを読んでいる。
「紙」の長所は、頭の回転が緩い状態でも、包括的な気持ちで情報を受け止めようという気にさせてくれることだ。対照的に、パソコン画面では相当な速さでスクロールしてしまうため、頭の中の「プロセッサー」を速く回さなくてはならない。
テレビはニュースでもエンターテインメントでも、BGMのようにつけている。自分が関心のある話題が出てきたら、画面に顔を向けるという使い方になる。
雑誌については、昨年までの東京在住の時と今の京都ではずいぶん違う。東京では自分がずっと動き続けていたから、定期的に週刊文春や週刊新潮を読む一方で、移動中にダイヤモンドやアエラなどを興味に応じて手に取っていた。
一方、京都では移動が少なくなり、新聞広告で関心の高い記事をチェックした上で雑誌を買うようになった。ライフスタイルというか、生活圏の変化と同時に雑誌の使い方が変わった。
海外テレビ局は良質ドキュメンタリーをつくれるのに・・・
放送を研究する立場から、視聴していて面白いのが海外のドキュメンタリー番組。例えば、NHKのBS放送で放映するドキュメンタリーは英BBCや米公共放送のPBSなどが制作しており、「凄い」と思うものがある。
一方、日本では良質な番組の担い手を育てようという余裕が、残念ながらどんどんなくなっている。ドキュメンタリーなどは深夜の隅っこの時間に追いやられ、閉鎖されたものもある。
最近テレビ業界では、「本当に志があって番組をつくりたければNHKに行った方がよい」と言われている。ユニオン形式で良い番組をつくろうと頑張っているプロダクションは、大手でも経営環境が大変厳しい。まして中小になると、テレビ局のご機嫌をうかがうようになってしまう。