15日のロンドン市場は、欧州株が反発しておりリスク回避ムードは和らいでいる。ユーロドルは序盤に1.3035近辺へと買われたが、対スイスフランや対ポンドでの売り圧力に押されて1.2950台まで反落。しかし、その後は1.30台を再び回復しており、ほぼ前日並み水準での振幅に留まっている。全般にはドル売りが優勢で、ポンドドルが1.54台半ばから1.55台乗せへと上昇、ドル円も78円近辺から77.80台へと軟化している。ポンドには引き続きユーロ売り・ポンド買いのフローが観測された。

この日、注目されたスペイン債入札は合計60.3億ユーロが発行され、目標上限35億ユーロを大幅に上回る結果だった。スペイン債など欧州債利回りは低下している。独欧の製造業およびサービス業PMIはいずれも市場予想より改善したことも、リスク回避ムードを後退させた。ECB月報では、景気見通しには相当の下振れリスク、インフレは来年2%未満に下がるだろう、リスクは均衡、などと指摘された。ドラギECB総裁の講演では、経済見通しにはかなりの下方リスクがある、と依然として厳しい状況が確認されている。ただ、いずれも先週のEU首脳会議については評価しており、危機解決への前進との認識が示されていた。

◆スイス中銀は追加措置を発表せず、フラン買いに
スイス中銀は政策金利を0.00%で据え置いた。市場は注目していたスイスフランの上限設定については、これまで通りの1ユーロ=1.20スイスフランが確認されている。1.30レベルへと変更する期待もあったことから、発表後はスイスフランに買いが広がった。ドルスイスは0.94近辺、ユーロスイスは1.2250近辺へと下落する場面があった。欧州株が堅調に推移していることでユーロ買いが先行していたが、ユーロスイスの売りが上値を抑えた面もあったもよう。中銀声明では、必要であればいつでも追加措置を取る用意がある、としているが具体的な内容は言及されていない。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)