アイスランドの火山爆発がもたらした噴煙によるヨーロッパ各地の空港閉鎖。交通のみならず、ギリシャ問題などでただでさえ揺れているEU経済への影響が懸念されている。

管制技術が発達した現代でも、ブータンでは有視界飛行のみ

 噴煙を吸い込むことによるエンジントラブルが一番の心配で、視界そのものが遮られることはそう大きな問題ではないのだが、いくらハイテク全盛の現代であっても視界は良いに越したことはない。

 元来、飛行機は離着陸も含めすべて有視界飛行を行ってきた。時代が進み、空も混み合うようになり接触事故が頻発、レーダーや位置認知システムなどの進歩も相まって、近代的な航空管制システムの下、運行されるようになったのである。

伝統的な建築の風情が残るブータンのパロ国際空港

 それでもヒマラヤに位置する山岳国家ブータンには、今でも有視界飛行で入国することが必要となる。

 伝統的なアジア、そしてチベット仏教文化が色濃く残るこの国は、近年、絶対王政から立憲君主制へと王室自らが切り替えたことで話題となった。唯一の空の玄関口であるパロ空港は近代化を図って建て直されたとはいえ、周りを山々で囲まれているために有視界飛行に頼るしかないのである。

 従って、天候次第では便がキャンセルとなることも稀ではないので、行きも帰りも飛行機が実際に離着陸するまで安心できない。

開発当初はおもちゃのようだった“ヒコーキ”

 ダイヤ通り飛ばないと文句ばかり言っている現代人だが、安全な空の旅ができるのも『狂っちゃいないぜ!』(1999)で描かれたような、危険スレスレの過密ダイヤをてきぱきと整理していく管制官たちのストレスにまみれた生活あってのものであることは、とかく忘れられがちである。

 天才レオナルド・ダ・ヴィンチさえも成し得なかった空へと羽ばたく夢は、気球、飛行船を経て、ライト兄弟が1903年に初飛行を達成してからわずか100年しか経過していないというのに、ここまで大衆化することに成功した。人類の能力はなかなかのものである。

 初フライトからほどない1910年にロンドン~パリ間を飛行競争するという映画『素晴らしきヒコーキ野郎』(1965)に登場する飛行機を見ていると、フィクションとはいえ、とても乗りたいと思えるような代物ではなく、命懸けのおもちゃといった感じにしか思えない。

 次々と現れる昔懐かしき複葉機の姿は、精密機器というよりも工芸品といった風情で、映画の題名のようにカタカナで「ヒコーキ」と書いた方がしっくりくる。