バンクーバー新報 2011年12月1日発売 第49号より

 BC州最高裁判所は、重婚を違法とするカナダの重婚について規定した法律を支持することを表明した。ただし、重婚によって発生してしまった未成年者の結婚については起訴を免れることになった。

 先月23日、BC州最高裁のロバート・ボーマン裁判長は、重婚のケース裁判に関する335ページの判決文を発表した。

 裁判長は「結論的には、このケース(重婚)は決定的に有害である」とし、「さらに言うなら、国会は重婚によってもたらされる影響について有害と判断した。これは、女性にとって、子どもにとって、社会にとって、一夫一婦制の体制にとって有害である」

 この判決に先立って、刑法293条の合法性に興味を示す様々のグループによって、42日間にわたって討論が繰り広げられてきた。

 BC州の法務大臣はボーマン裁判長に対して二つの質問に回答するよう要求した。一つは、カナダの重婚法はカナダ人権・自由憲章と矛盾していないかどうか、もう一つは、もし違反した場合の要点は何か。

 同法律に反対するグループは、この法は憲章で保障されている基本的権利(宗教の自由、連合の自由)を侵害していると主張している。

 しかし、ボーマン裁判長は、「重婚関係にある女性は、肉体的にも精神的にもリスクが高くなり、家庭内暴力や虐待(性的虐待も含めて)に巻き込まれるケースが多くなる」とし、「重婚家庭に生まれた子どもの死亡率は高く、少女における早期の性的目覚め、男女の不公平性、いわゆる「迷える少年」と呼ばれる問題(若い花嫁を得るための競争からあぶれ、重婚コミュニティの外にはじき出される)を引き起こす原因にもなっている」と説明している。 

 BC州南東部のバウンティフルに重婚コミュニティを作っている末日聖徒イエス・キリスト教会原理派から2009年に2人のリーダーが逮捕されたが、起訴はされなかった。今年1月、バウンティフルの10代の少女たちが結婚のために米国に連れて行かれたという証拠が得られ、RCMPは捜査を再開した。審理が行われ、4月に締めくくられた。

 このたびの判決は、この教派だけでなく、イスラム教コミュニティの重婚者や宗教外で重婚しているカップルにも影響が及ぶことになる。


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