かつて携帯情報端末(PDA)の市場を開拓し、スマートフォンの市場にもいち早く参入していた米パームが身売りを検討していると欧米のメディアが伝えている。

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、パームは今、同社の売却を含めた戦略的選択肢について投資銀行の米ゴールドマン・サックス・グループなどと協議している。

 英フィナンシャル・タイムズは、中国レノボグループ(聯想集団)や台湾HTCがパームの買収を検討していると報じた。同社を巡っては昨年(2009年)より、米デルやフィンランドのノキアが買収の意向を示しているという憶測も出ていた。

 パームが投資銀行と協議しているという報道を受け、同社株は12日に19%上昇し、時価総額を10億ドルにまで押し上げた。ただその規模は1年前の半分以下。同社の業績がここ最近不振続きだったからだ。

社運を懸けた新端末も商機を逃す

新型スマートフォン「Palm Pre」、6月6日から全米で発売

パームのスマートフォン「パームプリ(Palm Pre)」〔AFPBB News

 パームは起死回生を図るべく新製品に注力していた。新たな基本ソフト(OS)の開発を終え、昨年6月にはスマートフォンの新端末「パームプリ(Palm Pre)」を、11月には小型端末の「パームピクシー(Palm Pixi)」を発売した。

 しかし、米アップルの「アイフォーン(iPhone)」やカナダRIM(リサーチ・イン・モーション)といった人気モデルからシェアを奪うことはできなかった。

 同社は今年2月に業績見通しを下方修正している。消費者の製品購入が停滞しており、通信事業者からの受注が当初予想より少なかったというのがその理由だ。

 前四半期に同社は96万台のスマートフォンを出荷したが、実際に販売されたのはその半分にも満たなかった。また2005年に3.5%あった同社スマートフォンのシェアは2009年に1.5%にまで落ち込んでいる。

 パームの新製品は、米国携帯キャリア第3位のスプリント・ネクステル向けの端末として発売したが、顧客の減少を食い止めることはできなかったという。