韓国・日本の銀行がプノンペンにオープン(Korean-Japanese Bank Opens in Phnom Penh)。今から約3年前の2008年9月2日、カンボジアの代表的な英字日刊紙「カンボジア・デイリー(Cambodia Daily)」に、日本人や韓国人から見るとやや不思議な印象を受ける見出しの記事が掲載された。

リーマン・ショック直前、カンボジアに日韓の合弁銀行が誕生

 2008年9月と言えば、ドイツ南部から米国に移住したユダヤ系移民の兄弟によって創立され、米国4位の規模を誇るに至った名門投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻、いわゆるリーマン・ショックの引き金になった時である。同社は9月15日に連邦倒産法第11章の適用を申請、18日に上場廃止となった。 

SBIの北尾吉孝・最高経営責任者(CEO)。(撮影:前田せいめい)

 これをきっかけに顕在化した世界金融危機により、世界は未曽有の不況に突入していったわけだが、その直前の9月1日、東南アジアの小国カンボジアで、韓国と日本資本の小さな商業銀行が首都プノンペンに誕生したのである。

 その名を「Phnom Penh Commercial Bank(PPCB)」という。和訳すれば、プノンペン商業銀行となる。日韓のにおいを全く感じさせない行名で、実際にカンボジア資本の銀行だと思いこんでいる現地の人々も多い。

 しかし、この銀行は世界的にも極めて珍しい日韓合弁による在外商業銀行なのである。

 資本の60%を保有するのは韓国の現代スイス・フィナンシャルグループ・コリア。プノンペン現場銀行業務を取り仕切る経営陣は、この現代スイスから派遣されている。

 一方、40%を保有するのは日本のSBIホールディングス。 非常勤取締役を置いてはいるものの現場業務は基本的に韓国側任せ、というサイレントインベスター的な形の関与となっているが、同社のカンボジア進出の橋頭保となった銀行である。

 日本の金融業プレイヤーによるカンボジア初の投資案件に踏み切ったのは、強烈なカリスマ経営者が率いる日本屈指の金融グループであった。

 この投資案件はカンボジアでも高く評価され、SBIの北尾吉孝CEOは、現代スイスグループのキム・グァンジン会長とともに、外国人としては最高位のカンボジア王国勲章となる「銀塔産業勲章」をカンボジア国王より授与されている。