米国最大の携帯電話サービス事業者を目指し、米TモバイルUSAの買収計画を進める米AT&Tは25日、「訴訟も辞さない」などとする声明を発表し、米連邦通信委員会(FCC)を非難した。
同社の法務顧問であるウェイン・ワッツ氏が公式ブログに投稿したもので、同氏は「認可申請を取り下げる権利は我々にあり、FCCには我々の行動を止める権利はない。我々に対するいかなる提案も手続きの乱用になる」と述べている。
FCCの聴聞会、避けられない状況に
AT&TとTモバイルUSAの合併計画を巡っては、今年8月に米司法省が独占禁止法訴訟を提起している。
AT&Tと、TモバイルUSAの親会社であるドイツテレコムはこの裁判での勝訴、あるいは司法省との和解の道を探っているが、その一方で買収を成立させるためには、FCCからの承認も得なければならない。
これに先立つ22日にFCC委員長が「(買収計画は)委員会の承認基準を満たしておらず、さらに審査を進めるために聴聞会を開く必要がある」と述べたことを受け、両社は「まずは司法省からの承認を勝ち取るために注力する」ことを理由に、FCCへの申請をいったん取り下げた。
FCCが聴聞会を開くということはこの買収計画を頓挫させる狙いがあることを示唆しており時間や労力がかかる。両社はこれをいったん回避し、司法省との裁判が決着した後にFCCへの承認申請を再提出したい考えだ。
ところが、米ウォールストリート・ジャーナルによると、FCCはこの承認申請の取り下げを認めない、あるいは再申請を禁じるという条件付きで取り下げ要求を受理する意向を示している。