22日の東京市場は、ドル円の動きが話題になった。安住財務相が、日銀による50兆円規模の外債購入、為替介入になりわれわれの考えに合わない、と発言したことをきっかけにドル円が76.90レベルから一気に77.34レベルまで急伸した。市場筋によると、一部通信社が英語のヘッドラインニュースで報じた際に、外債購入が為替介入になる、との文章に留めたことで海外勢が介入報道と勘違いしたもよう。このところ77円がレジスタンスとなっていただけに、これを上抜けてショートカバーが殺到した格好だった。
ただ、午前の取引では、その前から円安傾向がみられていた。早朝には米超党派委員会による財政赤字削減の協議が決裂した、と報じられた。しかし、懸念されていた各格付け会社からの格付けや見直しなどの変更がなかったことで、市場にはやや安堵感が広がった。日経平均は前日NY株式市場の大幅安を受けて84円安で寄り付き、震災後の安値を更新する場面もあったが、次第に下げ幅を縮小し、前引けは10円安だった。豪ドル円は76円台乗せ、ユーロ円も104円台乗せまで水準を上げた。ただ、今年夏の米債務上限のときと同様に米国の政治プロセスへの不透明感は拭えず、今後の不安定材料との声も多かった。
午後にはリスク回避ムードが広がり、円安の動きは一服している。ドル円は77円近辺へと反落。また、特に豪ドルの下げが目立つ。一時76.30近辺まで上昇していた豪ドル円は75.70近辺まで下落。0.9890近辺まで上昇していた豪ドル/ドルも0.9820台まで軟化する場面があった。ユーロ円も再び103円台後半へ戻している。アジア株が冴えない動きとなっていることがリスク動向に敏感な豪ドルなどにとっては弱い材料。世界銀行は、東アジアの成長見通しを引き下げており、欧州危機の影響が根強いことをうかがわせていた。日経平均もマイナス圏で推移しており、東証・大証の統合に関する正式発表もあったが市場のムードは改善していない。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)