バンクーバー新報 2011年9月16日発売 第37号より 

写真説明:オンタリオ州では、太陽光をはじめとするクリーンエネルギーにも力を入れているというが、現在のところ電力の半分以上が原発からだ

 福島第一原子力発電所の事故を受けて、6月6日、ドイツが22年までに国内に現在17基ある原子力発電所をすべて閉鎖することを決めた。

 代わって太陽光、風力などの再生可能エネルギーを中心とした電力への転換を目指すというものだ。

 ドイツに先立ってスイス政府も稼動中の原子炉5基を全て廃炉にすることを表明。87年に既に脱原発政策を採択していたイタリアも、改めて国民投票でこの姿勢を続けることを明らかにした。

 欧州では原発政策の是非を決める動きが活発になっているが、ここカナダはどうだろう。

オンタリオの電力の半分以上は原発から

 カナダの原子力発電所の立地点を調べると、全てが東部にある。地震活動が活発とされているブリティッシュ・コロンビア州には全くない。

 しかし、人口が集中する東部、特に首都オタワと、カナダ最大の都市トロントのあるオンタリオ州には現在、稼動中のものだけでも16基ある。

 オンタリオ州では60年代から、原子力発電が州のエネルギー供給の一部を担っていて、現在は電力の半分以上を頼っているなど、原子力への依存度が高い。

 規模が大きいのはブルース原子力発電所だ。ヒューロン湖岸にあるブルースパワー社の同原子力発電所は、北米で最大、世界でも柏崎刈羽原子力発電所に次いで二位の出力を誇る。

 カナダ各州ではクリーンエネルギーを促進していて、風力、太陽光、バイオエネルギーなどの、よりクリーンなエネルギーへの転換を推進している。オンタリオ州も同様で、シャープの子会社が関わる太陽光発電プロジェクトを誘致したりと、積極的だ。

 ただし、同州のクリーンなエネルギーの中には二酸化炭素の排出が少なく、地球温暖化を防ぐということで原子力発電も含まれている。