新型オペ拡充による日銀の追加緩和については、3月5日に日経・読売による観測報道が出たことによって市場がこれを既成事実として半ば織り込んだ時点で、「外堀」が埋まった印象となった。その後の政府サイドからの発言とさらなる観測報道によって、「内堀」も埋まってしまった印象が強い。日経新聞が3月12日の朝刊で伝えているように、4月に予定されている2回の会合まで持ち越さず、3月16、17日の次回会合で、新型オペの拡充による追加緩和が決まる可能性が高くなった。言うまでもなく、金融の引き締めではなく緩和であることから、政府が異論を唱える可能性は皆無である。あとは、新型オペ拡充を何回かに分けて「小出し」にできるかどうかだろう。
3月11日、内閣府と財務省の大臣・副大臣から、追加緩和への期待を込めたとみられる発言が相次いだ。「1日も早く」「(日銀は)危機感を持っていると思う」といったあたりが注目される。
◆菅直人副総理・財務・経済財政相「日本銀行との一体的な方向性を持っていかなければならない。日銀はプラスゼロからプラス2(%)という目安を示している」「政府・日銀が共通の目標を持つことで、できれば今年中にはインフレ率がプラスに転化するよういろいろな手当てを打っていきたい」(参院予算委員会で)
◆古川元久内閣府副大臣「政府も日銀も1日も早いデフレ脱却を目指していかなければならないことで認識は一致している。それぞれの立場でできることがないか考え、1日も早くデフレ状況から脱却できるよう努力していく」(夕刻の記者会見で)
◆野田佳彦財務副大臣「報道ベースでは追加的に何か出てくるとの話があるが、(日銀が追加緩和をするかは)まだ分からない」「緩やかなデフレ状況にあるとの認識を政府と日銀は共有している」「政府としては(2010年度の)本予算を通すことが最優先」「金融政策は日銀の判断であり、個別具体的な話は分からないが、認識は一緒なので(日銀も)危機感を持っていると思う。来週の決定会合に注目したい」「(決定会合には自分が)出られれば出たい」