そして、「思い出をきれいに残そう」という言葉を掲げて、これからはこの言葉のもとにいくぞと大号令をかけた。それまでサトーカメラはおれの独裁だったんだけど、これからはお客さんとこの言葉に従えと。それが2003年頃の話。
── 同時に店づくりも大きく変わった。
佐藤 接客もサービスも棚も全部変えた。もう効率は追い求めなくていい、と。そうすると、お客さんがきちんと反応してくれるんだね。
例えば、うちで、ある商品を初めて知ったお客さんは、他の大手量販店に値段を調べに行く。でも、7割の人は「やっぱりあんたのとこで買うわ」って、うちに戻ってくる。もしも他の店が安かったら「ここで買うから安くしてよ」って言ってくるし、「高くてもいいよ」って言う人もいる。そして8割のお客さんはリピーターになる。
以前はうちも「こんなに安いですよ。ポイントがこれだけ貯まりますよ」ってやってたんだけど、2年前にポイント還元制度もやめちゃった。
ポイントは結局、カネで釣るってことでしょ。我々は金で釣るんじゃなくて、思い出をきれいに残すための商品でお客さんに来てもらう。そうするとポイントをやめた段階で、一瞬、お客さんが離れるんだけれども、最後は戻ってくる。
テレビCMに乗る商品なんてごく一部
── 効率を求めないと、利益が減っていくのではないですか。
佐藤 それが、利益率は上がってるんですよ。だってポイントをやめれば利益は上がるよね。お客さんも瞬間的に減ったけど、結局、戻ってきて、売り上げが伸びて利益も増えている。
── 利益はどれくらい伸びているんですか。
佐藤 単純に言うと、2005年頃は粗利が平均で25%ぐらいだった。それが2007年頃に35%になった。その時は、もうこれ以上は無理だろうなと思ったんだけど、今は40%近くまでいっている。
── ポイント還元制度をやめたことのほかに、利益が増えた要因はありますか。
佐藤 別に高く売っているわけじゃないんだよ。きちんとした商品を自分の目で仕入れて売れば、儲かるってことなんだよ。