15日のロンドン市場は、ユーロ売り主導でリスク回避の動きが広がっている。昨日に続いてイタリア債が売られ、10年債利回りは一時7%台で取引されている。また、この日はスペイン短期証券入札が実施され、利回りが上昇、発行額が目標上限に達しない結果にスペイン債の売りも広がった。ユーロドルは1.36近辺での神経質な揉み合いから次第に水準を下げて、一時1.3510近辺まで軟化している。ユーロ円も105円台が重く、103.95レベルまで下落。約1ヶ月ぶりの安値水準で取引された。欧州経済指標では11月ドイツZEW景況感指数がマイナス55.2と3年ぶりの低水準となった。それに先立って発表された仏独ユーロ圏の第3四半期GDP速報値は概ね予想通りの結果だったが、特段の反応はみせなかった。むしろ、ZEWのエコノミストが指摘したように、今後ドイツは四半期ベースでマイナス成長となる可能性があるなど、先行きの不透明感のほうが勝っている。欧州株は大幅安となり、独DAX指数は2%超の下落となる場面もあった。この動きにポンドやスイスフランをはじめ、豪ドルなど資源国通貨にも売り圧力が広がった。一方、ドル円は77円を挟んで上下10銭程度の振幅に留まっている。安住財務相が会見で、円高対策で、スタンスはまったく変わっていない、と述べたが、円相場は反応しなかった。
◆ポンド売り、キング総裁のインフレ見通し引き下げも
ポンドはユーロ以上に売られる場面があった。ポンドドルは一時1.58台前半、ポンド円は121円台後半へと売られた。キング英中銀総裁が、インフレは今後6ヶ月で急速に低下、2012年末までには目標水準に、と述べた。この日発表された10月の英消費者物価指数は前年比5.0%と引き続き高水準だったが、キング総裁はこれは一時的なもので、むしろ今後2%の目標水準を下回るリスクもある、と指摘していた。ユーロ圏の不透明感によって世界経済の成長鈍化が懸念されていた。10月の政策委員会での追加緩和措置が正当化される、とも述べており、今後の金融政策運営もハト派なものが続きそうだ。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)