使い古しのトラックの帆を材料にした「フライターグ」は、エコバッグの先駆者で代表格。スイス・チューリヒのフライターグ兄弟が考案して爆発的人気を集め、今や世界中で販売されている。
10月には、アジア初の旗艦店も東京に開店した。ここ地元でも不動の人気だが、最近、スイスの街で、目を引く別のエコバッグを見かけるようになった。(文中敬称略)
ゴミだった魚の袋をリサイクル!
明るい黄色の魚柄のショッピングカートで買い物する女性、泳ぐかのように水色の地に魚が躍るメッセンジャーバッグを肩から下げる男性、ショッキングピンク色の魚柄のミニバッグを手にする子供。
このカラフルな魚柄バッグは、スイス西部ローザンヌに本社があるコルパートのエコバッグだ。「コルパート」というブランド名は、フランス語で「特別なコレクション」という言葉を略して作った。
フライターグの主要ラインはスポーティーな雰囲気が強いが、コルパートはアクセサリー感をかもし出して小粋だ。
魚の柄はコルパートがデザインしたのではない。元々の素材に印刷されていた。この布は、カンボジアやベトナムで日常的に使われている魚を運ぶための袋だ。魚の柄がきれいに見えるように裁断している。
これらの袋はコルパートを設立したニナ・レバーが「すてきなデザインだ」と発見する前は、すべてゴミとして捨てられていた。
ニナがゴミだった袋を見たのは、8年前のこと。夫の仕事の都合でカンボジアに滞在していたときに見て、「これでバッグを作ってみたい」と思った。まず自分のために欲しいと思ったのだ。
自分で作ってみた試作品はとてもよくできた。それもそのはず、ニナは宝石デザイナー・職人として10年の経験があったから、デザインは得意中の得意だ。「こんなにすてきなら、ほかの人たちもきっと欲しいはず」。ニナはバッグを売ってみようと決めた。
初めのうちは、製作工程で文化の違いも
ニナは、カンボジアには利益優先で労働環境をないがしろにする企業が多数あることを知り、不遇な人々の支えになったらと、自分はデザインを担当し、生産を、社会復帰を支援する地元のNGOに依頼することにした。
ただ、バッグ作りはすんなりと進んだわけではなかった。地元の人にとっては、ゴミを売るなどという発想は前代未聞で天地がひっくり返るようなもの。魚の柄も、住民には決して美しいとは感じられなかった。