北朝鮮では2010年2月16日、金正日(キム・ジョンイル)労働党総書記の68歳の誕生日を祝し、各地で舞踏会などの慶祝行事が開かれた。総書記は実際には1941年生まれの69歳だが、1912年生まれの故・金日成(キム・イルソン)国家主席と記念の年を合わせるために北朝鮮では42年生まれとされている。

 同様に総書記の有力後継候補である三男ジョンウン氏も、これまで83年生まれと伝えられてきたが、最近82年生まれに変更されたと言われる。

北朝鮮のデノミ、三男ジョンウン氏主導か

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 北朝鮮は、金総書記の父である金日成主席の生誕100周年に当たる2012年を目標に「強盛大国」の建設を進めている。その年に金総書記はちょうど70歳、ジョンウン氏は30歳になる計算だ。

 故・金主席は今も偉大なる指導者として崇拝を集める存在で、北朝鮮では指導者の神格化のためこうした「捏造」「はったり」は日常茶飯事。外交でも同様で、長距離ミサイル発射や核実験などで危機をあおり、はったりの「脅し」を仕掛けることで各国から譲歩を得るのが常套手段。

 ただ現在の米韓政権にこの戦術は簡単には通じない。対外関係をうまく立ち回ることで何とか苦境をくぐり抜けてきた金総書記だが、内政・経済での失敗も重なり、内憂外患の難しい状況に追い込まれつつある。

総書記は弱気に?

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脳卒中の後遺症を隠すためか、最近の金総書記は左手が写っていなかったり、左手だけ手袋をはめている写真が多い〔AFPBB News

 2008年夏に脳卒中で倒れ健康問題が危ぶまれた金総書記だが、2009年には精力的な視察活動を行い、過去最多の動静が伝えられるなど、ひとまずは山を越えたようだ。ただ、北朝鮮メディアが伝える金総書記は、大きなサングラスを着用し、室内でも左手にだけ手袋をはめている姿が圧倒的に多い。

 脳卒中の後遺症で左手には麻痺が残っているとの見方が有力で、手袋を外さないのはそれを隠すためだろう。たまに見せる左手はむくんでおり不自由そうだ。一方で健康に見せるために顔のしみを除去しているという。

 2009年8月には、拘束していた米国人女性記者の釈放と引き換えにクリントン元米大統領の訪朝を実現させた。公開された写真には満面の笑みの総書記が元大統領と写っており、「人質外交」の「成功」に有頂天になっている金総書記の様子がうかがえた。