9日の東京市場は、ドルが軟調に推移した。また、ドル円は77.70近辺でのもみ合いから次第に水準を下げ、昼ごろには77.54レベルへと下落している。10月31日の日銀による為替介入のあとの戻り安値となった。昨日まで、市場では78円近辺で日銀が相場を支える覆面介入の思惑が広がっていたが、NY市場では売りが強まって77.57レベルまで投売りが広がっていた。APEC財務相会合を控えて、現状の値動きは過度の変動ではない、との米高官発言もあって米国から介入に釘を刺されたとの思惑がでていたようだ。安住財務相は国会答弁で、介入のタイミングは私自身が判断した、と明かしている。ドル円の上値は77.80レベルで抑えられている。ドル円の軟化につれてクロス円も軟調。ユーロ円は107円台前半、豪ドル円は80円台前半へと水準を下げているが、前日安値を割り込むまでは至っていない。ただ、午後に入ってからはNZドル円61円台半ばやポンド円124円台後半など前日安値を割り込んでおり、全般に円高の圧力がみられている。
昨日のベルルスコーニ伊首相の辞任表明でユーロドルが買われた。この流れを受けて東京市場でも一時1.3850台と一段高になったものの、午後には1.38台前半へと下げて買い一服。中国の10月消費者物価指数は前年比5.5%と市場予想通りの伸びで9月の6.1%からはインフレは落ち着いた。中国株は小動き。前日NY市場の上昇を受けて日経平均は小高く推移しており、過度のリスク回避ムードからは落ち着いている。そのなかで、原油先物は97ドル近辺で高止まり。イラン情勢の緊迫化が材料視されており、原油高がドル安圧力につながるとの見方も一部にはあった。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)