カンボジア来訪者にとって、主に政治経済面での空の玄関口となる、プノンペン国際空港。空港を出て東へ、プノンペン市内に向け車を走らせること20分ほど、市内中心地に近づくと、プノンペンに初めて訪れる来訪者が一般的にまず想像する景色イメージとはややかけ離れた感のある、高くそびえる高層タワーが視界に入ってくる。

プノンペン市内屈指の高層オフィスビル、カナディアタワー

各国企業がオフィスを構えるカナディアタワー

 2009年11月5日に開業し、総床面積は4.5万平方メートルを超え、約1万平方メートルの賃貸用オフィススペースを提供する。カンボジアで初めて建設された高層オフィスタワーである。

 市内はまだ低層建造物がほとんどのためか、地上32階の高さ程度とはいえ、プノンペン中心地に立つその姿は、それなりの偉容を誇る。

 日系大手総合商社、欧州系建設コンサルタント会社や会計事務所など、外資系の入居がその多くを占め、25~26階には本年7月11日にオープンしたばかりのカンボジア証券取引所も居を構えている。

 また、カナダ移民戻りのカンボジア人創業者たちとカンボジア中央銀行とのジョイントベンチャーとして1991年に設立され、現在ではカンボジア最大手商業銀行の一角を占めるカナディア銀行が、このビルに本店を構えている。

 2010年12月末現在の総資産、約10億米ドル。2010年度年間純利益、約1400万ドル。総資産額、純利益額ともに2010年の国内銀行業界3位の規模を誇るカナディア銀行は、カンボジアでは少数派となる現地資本100%の純粋ローカルバンクである。

カンボジアの商業銀行は2010年末時点で31行

 カンボジアでは銀行健全性向上のため2010年末を期限に、1997年のアジア通貨危機以来となる過去2度目の最低資本金引き上げが実施された。

 500億リエル(約1200万ドル)から1500億リエル(約3600万ドル)へ3倍の最低資本金引き上げだったにもかかわらず、これに応じられず特殊銀行に格下げされた銀行は、大方の予想を覆し2行のみだった。

 カンボジアで営業する31行中29行、ほとんどすべての銀行が、カンボジア中央銀行の指導に従い、資本金を積み増し、カンボジア国内で商業銀行を継続する意思決定とともに、2011年を迎えたことになる。