米ヒューレット・パッカード(HP)は10月27日、同社のパソコン事業について、分離計画を見送ると発表した。
メグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO)兼社長は発表文で「戦略、財務、事業運営といった観点から分離の影響について客観的に検討した結果、社内にとどめておくことが、顧客、パートナー、株主、従業員にとって正しいということが分かった」と述べた。
「主要業務全体に効果がある」
HPでは、前CEO兼社長のレオ・アポテカー氏が今年8月に経営改革の一環として同事業の分離(子会社化)や他社への売却について検討に入ると発表。来年の8月から再来年の2月頃をめどに結論を出したいとしていた。
ところが同社の取締役会は9月になって突如アポテカー氏を解任。取締役を務めていた米イーベイ元CEOのメグ・ホイットマン氏を新たなCEO兼社長に任命した。
ホイットマン新CEOは当初アポテカー氏の方針を踏襲することを示唆していたのだが、結局は分離しないことにしたというわけだ。
HPはその理由について、「パソコン事業を社内に維持することは、サプライチェーン、情報技術、調達などの主要業務全体にわたって効果があることが分かった」と説明している。
また同事業は、HPの技術資産やブランド価値に貢献しているとも説明しており、「これらを単独の企業で再び構築するには多額の費用がかかり、分離の効果を上回ってしまう」という。
昨年度におけるHPパソコン事業の売上高は約400億ドルで、同社全売上高の3分の1を占めている。世界のパソコン市場におけるHP製品のシェアは17.7%で業界トップ。同事業を社内に残すことで、ブランド力や顧客関係を維持できるという判断もあったようだ。