行動の実績は

インド洋給油活動が終了、海自艦に撤収命令

インド洋での給油支援活動のため、神奈川県・横須賀の海上自衛隊基地を出航するイージス艦「きりしま」(2002年12月16日撮影)〔AFPBB News〕

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 任務に関連したデータを列挙すると次のようになる(なお期間中、中断をはさんで前後で法律の名称・国会手続きが異なり、任務も限定されているが、必要がある場合を除いて両者の合計で表示する)

●期間: 平成13(2001)年12月から22(2010)年1月までの丸8年間

●参加隻数と人数(延べ数): 73隻、1万3300人(1回に約800人、海自定員の2%)

●個人の参加回数(最多): 7回

●給油量と給油回数: 51.4万キロリットル、939回(日本のガソリン使用量の約3日分に相当)

どのような行動をしたのか

 海上自衛隊の艦艇部隊はどのような行動をしたのだろうか。 1回の派遣期間は約6カ月で その内訳は、40日が往復、3~4カ月が現地での活動である。

 現地での活動期間中、1カ月に1度、数日の自艦の補給と乗員の休養を兼ねたジュベルアリあるいはフジャイラ等に寄港をするほかは洋上にあって給油活動をする。

 給油の回数は、行動開始当初は多く、最近減ってきているが平均すれば3日に1回程度であり、1回の給油が終われば、バーレーンに所在する連合海上部隊司令部に派遣されている連絡官を通じて調整された次の給油地点に向かいつつ警戒監視に当たるのである。

 連絡官からは各国の給油所要(日時、場所、量)や各種の情報がもたらされる。書けば平易な行動のように思われるが、そうではない。

 給油自体が後で述べるように大変な作業であるし、移動中も一貫して行われる不審船の発見や不測事態へ備えるための警戒監視も頭で考えるほど容易なものではない。さらに加えて当地は高温多湿である。

 強い日差しに甲板は熱せられ、素手では触れないほどになり、またその照り返しで甲板上の温度は60度以上を示す。そのような環境下、ヘルメットをかぶりカポック(分厚い救命具)を身に着けての数時間に及ぶ作業の負荷は想像以上のものがある。

 過酷な任務であるが、8年の間に数回任務に就いた隊員は多い。過去約8年間の中で、7回すなわちほぼ毎年、半年間の派遣に参加している隊員は、「インド洋には飽きた」と言いつつも、生活のサイクルの一部と言い、淡々と任務を遂行している姿は頼もしい。

 このような行動の全般指揮はわが国の指揮系統によりなされる。すなわち、自衛隊レベルで言うならば行動全般を統合幕僚長が統括しつつ、自衛艦隊司令官の指揮の下で活動をするということである。

 現場における艦艇同士の意思の疎通は国際VHFを使用しての英語による交話であるが、各国でイントネーションが異なり、慣れるのに苦労をした模様である。