個人消費の動向を探る上で有用な、しかも身近な指標として、筆者は全国百貨店売上高(店舗数調整後=既存店ベース)の内訳である婦人服の動向を注視している。このテーマについては、週刊ダイヤモンド 10月18日号「DATA FOCUS」欄でもコメントした。11月18日に発表された直近10月分で、婦人服は前年同月比▲9.8%となった。2007年7月以降、これで16カ月連続のマイナスを記録。さらに、減少幅は10%近い大きさで、百貨店売上高全体の減少幅(▲6.8%)よりも大きくなっており、いわば「重症」である。

 婦人服売上高の16カ月連続での減少がスタートした2007年7月は、(1)ボーナスが減少に転じたこと、(2)ガソリン高に代表される「悪い物価上昇」が加速し始めたことという、2つの大きな出来事があった月である。その後、(2)は「原油バブル崩壊」によって打ち消されているものの、(1)は2008年度企業収益の大幅な悪化を受けて、家計にとって一段と重い材料になる見通しとなっている。加えて、世界的な金融危機と株価急落が消費マインドを冷え込ませており、10月の消費動向調査で、一般世帯の消費者態度指数は過去最低水準を更新した。

 

 婦人服売上高は、一般的な家庭で「財務大臣」役を担うことが多いとみられる女性層の購買動向に着目した、個人消費のインディケーターである。それとは別に、筆者は最近、高額所得者の購買動向という、異なる角度から見た個人消費(さらには景気全体)の良いインディケーターはないかと探してみた。その結果見出すことになったのが、本リポートでご紹介する、日本自動車輸入組合が公表している統計「車名別輸入車新規登録台数」に含まれている「BMW」の新規登録(=新車販売)台数である。