国別の原油の確認埋蔵量世界一はサウジアラビアで、全体の約19.9%を占める。では、2位がどこかご存じだろうか?

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カナダ・アルバータ州のオイルサンド抽出施設。大量の水蒸気を発生している〔AFPBB News

 答えはカナダだ。イラン、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)などの湾岸諸国を遥かにしのぐ埋蔵量を誇る。

 「カナダに油田?」と首をかしげる人がいるかもしれないが、その正体は西部のアルバータ州にあるオイルサンド=鉱物油分を含む砂岩だ。量にして約1780億バレル。今のペースで生産し続けても、189年は無くならない計算だ。(石油連盟「今日の石油産業2009」 8ページ参照)

 「189年分」と聞いて安心するなかれ。実は、石油の問題を考えるにあたって、「量」はさほど重要ではないのだ。その理由を説明しよう。

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サウジアラビアは世界一の石油埋蔵量を誇る(メッカのグランドモスク)〔AFPBB News

 地球上にはまだまだたくさんの石油資源が眠っている。正確な数字は分かっていないが、9兆バレルとも、10兆バレル以上とも言われる。

 人類が過去に消費した石油は約1兆バレルなので、潤沢な資源が残っているような錯覚にとらわれるが、実は、我々がその全てを使うことは2つの理由で不可能だ。

 第1の理由は、技術的制約。現在の技術レベルでは、油田から取り出すことができるのは35%程度で、残りの約65%は地中に残ってしまう。

 もちろん、技術革新によって、将来、より多くの石油を回収する技術が確立されるかもしれない。しかし、仮に飛躍的な技術革新で、ほとんどの石油を回収できるようになったとしても、実際に回収されることはないだろう。

 それは、第2の理由である、石油の「質」の問題だ。この点を理解するために、油田から石油を取り出すプロセスについて知っておく必要がある。

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イラク南部ハルファヤ油田〔AFPBB News

 通常、油田開発はボーリングをして油井を設置する。若い油田であると内部の圧力によって石油が押し出され、勢いよく自噴する。これが1次回収である。

 埋蔵量が減ってくると、徐々に内部の圧力が弱まり自噴の勢いも弱まる。そうなると、海水などを押し込んで人工的に圧力を高め、埋蔵されている石油を取り出す。当然、産出される石油にも海水が混じるため、産出後に海水を取り除く作業も必要になる。これが2次回収である。