プロ野球はクライマックスシリーズ(CS)で日本シリーズ出場権を争う組と、早くも来季に向けて動き出す組とに分かれた。Aクラスから漏れた6球団は早くもストーブリーグと呼ばれる時期に突入した。
CS、日本シリーズが盛り上がるその裏で、監督・コーチや選手の出し入れ、ドラフト会議と、秋季練習の間にも来季の編成を睨んだ動きが活発化する。
その中で、まだ来季の構想どころではない気の毒な球団が1つある。身売り騒動の渦中にある横浜ベイスターズだ。
今年まで4年連続セントラルリーグの最下位。昨年もこの時期に住生活グループへの売却の話が持ち上がったものの、交渉は決裂した。
ナベツネ氏も認めた? 経常利益500億円超の「優良企業」
今年は携帯電話ゲームサイトの「モバゲー」などを展開するDeNA(ディー・エヌ・エー)がベイスターズ買収に名乗りを上げている。10月28日にも現オーナーのTBSとの間で売却契約を結ぶと報じられている。
DeNAは1999年の創業。2011年3月期の連結売上高は1127億円、東証1部に上場する従業員1000人規模の会社だ。楽天が2004年にゴールデンイーグルスを設立した時の連結売上高456億円に比べたら倍以上の規模がある。
その楽天は今や売り上げが3461億円で経常利益は623億円(2010年12月期)の規模に成長した。一方のDeNAは経常利益が563億円(2011年3月期)で、これは阪神阪急ホールディングスの昨年度の経常利益465億円、西武ホールディングスの同182億円を凌駕する。もちろん長期的に安定的な収益を期待できるインフラを持つ電鉄会社と新興IT企業を単純に比較することはできないけれど、ともあれ数字は数字である。
プロ野球の身売り騒動が出ると必ずご意見番として登場するナベツネ氏こと渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長(読売ジャイアンツ会長)も、DeNAによるベイスターズ買収の話が持ち上がった当初は「全然知らないね。 聞いたことがない」だったのが、こうした数字まで頭に入れたのか、いつの間にやら「他にないだろう」と手のひらを返している。