2年に1度の診療報酬改定が4月に迫ってきました。今回は、「救急、産科、小児、外科等の医療の再建」、および「病院勤務医の負担の軽減(医療従事者の増員に努める医療機関への支援)」の2項目が改定の重点課題に挙げられています。

 前者については、救急対応を行う病院への診療報酬をアップすることで対応する方向のようです。

 後者の、「医療崩壊」とも称される、勤務医の過重労働による「逃散」に対する対応策としては、医療補助者(医療事務や看護助手など)加算で対応するとされています。勤務医の負担を軽減する対策は、ぜひとも成し遂げてほしい重点課題です。

 その中身をよく見ると、今回、「救急病院等を受診した軽症患者について、医療保険の自己負担とは別に、患者から全額自費の追加特別料金を徴収することを許可する」という項目が検討されていました。

 「コンビニ受診」と称される軽症救急の増加が病院勤務医を苦しめているから、全額自己負担の追加料金を設定して抑制する、という理屈です。

 1月27日の中医協(中央社会保険医療協議会:厚生労働省の諮問機関)の総会で、今年の改訂における追加特別料金の徴収は、結局、見送られたのですが、コンビニ受診を「悪」とする風潮があることは確かなようです。

 コンビニ受診を減らすために追加料金を設定するというのは、一見もっともらしい理屈ですが、本当に正しいのでしょうか?

コンビニ受診は本当に医療崩壊の原因なのか?

 「日中は忙しいから」「平日は仕事があるから」といった理由によって、軽症の人々が、本来重症者の受け入れを対象とする救急外来で夜間や休日に受診する行為が「コンビニ受診」です。

 救急外来を受診するほとんどの方は、自分が重症かどうか分からないから(重症になって手遅れになるのが怖いから)、軽症でもわざわざ医師の診察を受けるために救急外来を受診するのです。

 確かに9割の軽症患者には、救急対応は必要ないかもしれません。それでも、「仕事が休めずになかなか来られなかった」ために重症化してしまった患者は確かにいます。

 そういう方を見るたびに、コンビニ受診は「翌日に必ず専門医に診てもらってください」と指示するだけでも十分意義があることだと思います。昼間のような十分な対応ができないとはいえ、夜間休日に受診することにより重症化を防げている事例は間違いなく存在するのです。