20日の東京市場は、リスク回避ムードが優勢だった。取引序盤は前日海外市場の動きに調整が入る展開だった。仲値がゴトウ日(5・10日)となることで外貨需要が観測された。ただ、市場には相場を押し上げるような明るい材料が欠けている。19日のNY市場では欧州のEFSF規模拡大について懐疑的な見方が広がっていた。東京早朝には、S&Pが財政状況の悪化を理由にスロベニアの格下げを発表している。日経平均が8700円割れとなったほか、アジア株も軟調。序盤は調整ムードだった為替市場も、仲値公示を境目に円高・ドル高の流れが明確になった。105円台後半までじり高となっていたユーロ円は105円台前半へ、121円台乗せとなっていたポンド円は120円台後半へと下落し、前日のNY安値を割り込んだ。ユーロドルも1.37台後半から前半へ、ポンドドルは1.57台後半から前半へとそれぞれ水準を下げている。午後に入ってからも戻りは鈍く、むしろ一段と下押ししている。ユーロドルは一時1.37割れ、ユーロ円一時105円割れ、ポンド円は120円台半ばまで下落した。バルニエ欧州委員は、ソブリン格付けをいくつかのケースで禁じる公算、ショイブレ独財務相は、ギリシャのデフォルトの可能性を否定せず、などネガティブな発言が報じられていた。
◆豪ドル軟調、豪ドル円は78円割れへと下押し
リスク回避の流れを強く受けたのが豪ドルだった。豪ドル円は78円台後半から78円割れへ、豪ドル/ドルは1.02台前半から1.01台後半へと下落して、それぞれ前日安値を下回っている。第3四半期の豪NAB企業信頼感がマイナス4となり、前四半期から9ポイント低下した。先行きには改善を見込む動きもあったが、豪ドル売りの流れは変わらず。欧州のソブリンリスクに加えて、早朝にブラジル中銀が利下げを発表したことや、今週発表された中国GDPが伸び悩むなど新興国の景気不安、成長鈍化の影響は資源輸出国である豪州経済に色濃く影響すると懸念されている。また、昨日NY市場では主要金融機関が豪ドルの売り推奨のレポートを発表するなど、豪ドルに関しては厳しい見方が増えている。
◆ドル円、動かず
白川日銀総裁も支店長会議での冒頭あいさつで、欧州ソブリン問題や米バランスシート調整の影響を引き続き注意、としていた。政府の円高対策最終案も報じられていたが、円相場は反応薄だった。政府と日銀で景気対応検討チームを設置、雇用調整金の要件緩和、中小企業への融資支援拡充、外為特会から国際協力銀行への融資枠を2兆円追加して10兆円に拡大など諸策が盛り込まれる模様だ。ドル円は、ほとんど76.70台での揉み合い。仲値にかけて76.86レベル、後場に76.68レベルをつけた程度。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)