19日のNY市場、ユーロは戻り売りに押され、ロンドン時間の上げを失った。前日は週末のEU首脳会談で、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の拡大期待が高まっていたが、本日はその期待に懐疑的な見方が強まり、警戒感から売りが優勢となった。午後になって米地区連銀経済報告(ベージュブック)で、緩やかな成長が続いているものの、先行き不透明と指摘していたことをきっかけに、見切売りが強まっている。

懐疑的な見方が強まった要因は以下の通り。前日はEFSFの規模を2兆ユーロに拡大することで合意したと伝わっていたが、一部EU当局筋から、拡大はあるものの、2兆ユーロは難しく、1兆ユーロも超えられない可能性もあるとの発言が出ていたこと。また、EFSFの規模拡大に関してECBの役割に独仏間で意見の相違があること。更にEFSFを使っての債券保証は、他のEU条項に照らし合わせて法的に不適切との見解が出ていたことなどがあげられる。

本日の欧州の現地時間夕方から独仏首脳を始めとして、トリシェECB総裁、ドラギECB次期総裁、ラガルドIMF専務理事などを交えた会談が行われているが、週末のEU首脳会談に向けて、何らかのアクションが出るか注目される。

◆豪ドルに売り推奨相次ぐ 
豪ドルもユーロとともにNY時間に入り売りが優勢となり、ロンドン時間の上げを帳消しにしている。また、金融機関からの売り推奨も相次いでいたようだ。野村は1.03台からの売り推奨。更にバークレイズは200日線が控える1.03台後半が戻りの限界と指摘。きょうも200日線で上値を抑えられる格好となっている。

欧州の動向がどのような解決策を見せるか次第と思われるが、欧州が最大の貿易相手である中国経済に対する不透明感も強まる中、豪ドルの上値には懐疑的な見方も根強い。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)