G7が開催されるカナダ・イカルイト

 2010年2月5~6日、カナダの北極圏に近い都市イカルイトで先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が開催される。それは議長を務めるカナダの財務相フレアティが企図するように、極寒の地で暖炉を囲みながら本音をぶつけ合い、G7が通貨マフィア会議の原点に戻るきっかけになるかもしれない。

 今のところ共同声明は発表されず、プレス対応は各国財務相による共同記者会見になるらしい。日本のマスコミはG7がG20に取って代わられ、存在感を失っているように報道するかもしれない。しかし、各国からの参加者はそれを読んでほくそ笑むだろう。

プラザ合意で変貌したG7、国際金融市場に働きかける舞台に

 G7の前身は、米、英、西独、仏、日の5カ国によるG5で構成された秘密会議であった。これが大きく変貌したのが、1985年のプラザ合意。貿易不均衡の是正に人為的なドル安政策を打ち出し、その実現のために市場に働きかける舞台が必要となったからだ。

 また、米国の巨額財政赤字に対策を講じるため、マクロ経済政策をめぐる各国の協調が強く意識されたのも、この会議からである。イタリアとカナダが加わり、G7という今の姿になったのは1986年のことだ。

G7閉幕、政策総動員と保護主義阻止で合意

原点回帰目指すG7(2009年2月ローマ会合)〔AFPBB News

 プラザ合意は2つのポイントで会議の運営を大きく変えた。

 1つは、巨大化して政府の介入だけでは動かなくなった市場に働きかけるため、共同声明を公表した上で記者会見を開くなど、活発な広報が行われるようになったことだ。

 もう1つは、マクロ経済政策の協調合意を行う責任者として、G7参加国の財政政策を掌る財務大臣と、金融政策を担う中央銀行総裁の国際的存在感が増した点にある。それ以前のG5の時代、日本では為替や国際金融を所管する大蔵省(現財務省)の財務官が会議の中心的存在であった。

「アジア唯一」の自負、G7を過大評価する日本の特殊性

 巨額な貿易黒字を抱えていた日本や西独に対し、プラザ合意は強烈な円高、マルク高で構造転換を迫った。そのマグニチュードを日本が最も強く受け、円高不況の下で国民は衝撃を受けた。