マット安川 政治家は命を懸けてやる気概が必要、と初登場の田原総一朗さん。体当たりで見てきた自民党政権時代から現政権までの政界の動きや、現在のメディアへの思いなどをお話しいただきました。
国民に迎合し続けた自民党が日本をダメにした
ジャーナリスト、早稲田大学特命教授、大隈塾塾頭。岩波映画製作所、東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、1977年からフリーとして活躍。1998年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞する。最新刊の『第三次世界大戦 新・帝国主義でこうなる!』『第三次世界大戦・世界恐慌でこうなる!』(佐藤優氏との共著)のほか、『誰もが書かなかった日本の戦争』『なぜ日本は「大東亜戦争」を戦ったのか』『Twitterの神々 新聞・テレビの時代は終わった』など著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)
高度成長期の政治家はラクなもんでした。企業は儲かって税金をどんどん納めたし、おかげで歳入は増える一方。金が余るもんだから政府は減税を繰り返し、福祉を分厚くした。
そりゃ国民は喜びます。政治家が少々悪いことをしても、まあいいよというムードだった。自民党の一党支配がずっと続いたのはそういうわけです。
今のように政治が難しくなったのは、90年代の初めにバブルが崩壊してからです。歳入が目に見えて減る中、高齢化で出ていくカネばかりが増えた。今年なんて歳入は41兆円、歳出は92兆円です。会社ならとっくに倒産してますよ。
本来なら増税で歳入を増やし、福祉や教育の予算を削って歳出を減らさないといけないのに、自民党は世論に迎合するあまりどっちもできなかった。日本が世界一の借金国に成り下がった責任は自民党にあります。
世論への迎合ということでは、安全保障の問題を曖昧にしてきたことも自民党の罪です。タカ派と言われる、嫌われるからと、国家を論じることすら避けてきた。安全保障は平和の、国家は民主主義の大前提なんです。
政治家は国民にイヤな顔をされようと嫌われようと声を上げないといけない。国民の声を聞くことの大事さばかりが言われますが、僕に言わせれば「聞きすぎ」なんですよ。