過大な成功報酬など、トラブル急増中

新宿中央公園で炊き出し、アントニオ猪木氏もラーメンを提供

新宿中央公園で2009年12月28日に行われた炊き出し〔AFPBB News〕

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 だが、過払い請求の広がりとともに債務者と過払い請求を請け負う弁護士や司法書士との間のトラブルも増えている。

 日本貸金業協会の資料を開くと、過払い金請求に対する苦情件数はうなぎ上りだ。2007年度はゼロ件だったのに、2008年度は18件、2009年度は4月から11月までの8カ月間ですでに45件に上っている。協会が把握しているだけでこの数字だから、水面下でのトラブルはかなりの水準になるとみられる。

 トラブルの内容は多岐にわたる。まず十分に相談に乗ってもらえないという不満だ。弁護士や司法書士が直接、相談に乗ってくれず、事務員任せにする。過払い金の請求額が満額ではなく、半額程度で勝手に和解されたという苦情もある。借入先を全部書けと言われて書いたら、勝手に全部の業者を相手に過払い請求をされてしまったという憤りも目立つ。

 費用に関するクレームも多い。成功報酬を半分近くも取られた。事前に相談も含めていくらかかるかという費用に関する説明がなかった。高額な着手金を払ったのにもかかわらず一向に手続きを始めてくれない。取り戻した過払い金の返金額をごまかされた──などなど、事例を挙げればきりがない。なかには「貸金業者から返還された過払い金の額を弁護士が教えてくれない」という話もあるという。

 一般に債務の返済は過払い金で元本を返済し、余った分から弁護士費用などを差し引いて依頼者に返還される。過払い金の額が少額だったり、まったく期待できない場合には金利減免などの交渉を嫌がる弁護士もいるようだ。

自分のお金は自分で守る

 トラブル続発を受け、日本弁護士連合会(日弁連)は2009年7月、全国の弁護士に対し、過払い金を回収する仕事だけを引き受けることがないよう求める異例の指針(PDF)を出した。(1)債権者と直接面談し、現状を十分に把握する。(2)過払い金の返還請求だけでなく債務整理全体の解決を目指す。(3)信用情報機関に事故登録されていわゆるブラックリストに載ってしまう可能性や、不動産の所有権を失ったりするリスクがあることを事前に十分説明する――という内容だ。日本司法書士会連合会も日弁連と同等のガイドライン策定を検討中と伝えられる。