5日のNY市場はリスク回避が一服し、欧州通貨や資源国通貨の買い戻しが優勢となっている。欧州当局が資本劣化が懸念される欧州金融機関に対して支援の姿勢を強調し始めていることや、この日発表になった米経済指標が底堅い内容となったことが雰囲気を改善させていたようだ。
メルケル独首相も最後の最後としながらも、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の活用を容認し始めている。自己資本強化については、まずは自助努力、次に各国による公的資金注入、そしてEFSFの活用の順番を示していた。
ユーロやポンドは日本時間0時のロンドンフィキシングに向けて売りが強まる場面もあったが、通過すると買いが強まっている。ユーロドルは一時1.3380近辺まで上昇。ユーロ以上に買い戻しが膨らんだのが資源国通貨。米株や商品市場の上昇とともに一本調子の上げを見せていた。豪ドル円は74円台を回復。
ドル円も円安の動きに77円台に乗せる場面も見られたが、売り圧力から滞空時間も短く、上へ往って来いの展開となってしまった。
◆明日はECB理事会 シンクタンクのレポートも話題に
明日はECB理事会が開催されるが、一部でECBの動向に関するシンクタンクのレポートも話題となっていた。レポート自体はECBによる利下げの可能性を指摘したもの。但し、市場では、ECBが利下げを実施したとしても、財政問題やユーロ圏各国国債の利回り格差が拡大している状況では、景気自体にはあまり効果はないとの意見も多い。金融システム支援の目的で1年物資金供給の再開などは見込まれてはいるものの、利下げまではないものと思われる。但し、必要ならの条件つきで、選択肢を持つことは強調して来る可能性はありそうだが。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)