前回は、中国の経済成長と民主化の関係に関する米国での議論の変遷についてご紹介した。早速女房からは「議論は面白いけれど、中国がなぜ民主化しないのか、よく分からない」と言われてしまった。ふーむ、なるほど。というわけで、今回は経済が拡大しても中国社会が変化しない理由について考える。

北京女性は官僚がお好き?

シンガポール8月の観光客数、過去最高

中国からの観光客でにぎわうシンガポール〔AFPBB News

 あれはリーマン・ショック前の夏だったかと思う。シンガポール出張中に得意先の招待で「カラオケ」クラブに連れて行ってもらった時の話だ。

 カラオケといっても、そこはもちろん中国式、中国本土から来た数十人の美女から選んだ1人が横に座ってくれるだけの、普通の「カラオケ」である。

 たまたま隣に来た若い女性は北京出身の学生さんだった。中国語で話しかけたら、「シンガポールで日本人と北京話で会話するなんて予想もしなかった」と言われた。

 確かに生粋の北京方言だったから、北京生まれに違いない。この際だから、今まで聞けなかった意地悪な質問をぶつけてみようと思った。

 「大金持ちのオーナー企業経営者と貧乏な公務員、結婚するとしたらどちらを選ぶ?」

 彼女の答えは意外だった。「もちろん、公務員。決まっているじゃない」。当時、シンガポールでは中国大陸からやって来た民間新興成金が街中を跋扈していた。彼女はそれでも結婚相手は公務員がいいと譲らなかった。

 「さすがは北京人、権力への執着心は見事なものだ。でも、これからは民間にもどんどん金持ちが増える。いずれこの子も考えを変えるだろう」などと思いながら、その晩は早めにホテルに戻った。