9日のロンドン市場は、ユーロ売り強まった。ギリシャ債はこの日も売られ、欧州債務危機の根深さが示されている。ユーロドルは序盤から売られ続けて1.39台から一時1.37台後半まで下落。3月11日以来、半年ぶりの安値水準となった。ドルスイスもスイス中銀の介入観測の中、100ポイント上昇している。欧州株が軟調に推移していることで、リスクに敏感な豪ドルにも売り圧力がかかった。豪ドル/ドルは1.06台から1.05台前半へと下げている。ポンドドルも一時1.59割れへと急落する場面があった。英生産者物価指数は仕入が鈍化、出荷が予想を上回るなどまちまちの結果で反応しにくかった。ドル円は着実に上昇して77.80台と約1ヶ月ぶり高値水準となっている。ドルインデックスが上昇するなど、ドル高の動きも広がっていた。欧州危機に対して、昨日のバーナンキFRB議長の講演で追加緩和期待が後退するなど、ドルとユーロの材料が対照的に。クロス円は各通貨まちまちに動きとなっている。株安による円買いの図式はあまり見られていない。今日と明日開かれるG7は注目材料だが、市場の期待感は盛り上がっていないようだった。

◆カナダドル売り、雇用悪化で
日本時間20時に発表されたカナダ雇用統計は期待はずれの結果だった。8月のカナダ雇用者数は5.5千人減と市場予想21.5千人増および7月の7.1千人増から予想外の悪化となった。失業率も7.3%と7月から0.1%ポイント上昇した。業種では製造業の雇用が減少したほか、雇用形態ではパートタイム雇用が減少した。ドルカナダは0.99台半ばへ上昇、カナダ円が一時78円近辺へと下落した。ただ、カナダ円はドル円が着実に上昇していることから下げは一時的だった。先週末の米雇用統計に続いて北米地域での雇用情勢は予想以上に不安定になっている。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)