身近でありながら、その原因も対処法も曖昧なことが多い頭痛。「自分は頭痛持ちだから」と諦める前に、きちんと向き合うことで「頭痛持ち」からお別れすることができる。頭痛外来を持つ秋葉原駅クリニック院長の大和田潔先生に話を聞いた。

病院でも適当にあしらわれる頭痛

大和田潔(おおわだ・きよし)
福島県立医科大学卒。東京医科歯科大学医学部大学院卒。2007年に秋葉原駅クリニックを開業。神経内科専門医、日本頭痛学会専門医。著書に『副作用―その薬が危ない 』(祥伝社新書) 、『新版・頭痛』(新水社)などがある。

――頭痛で悩んでいる人は多いと思いますが、病院に行っても適切な治療をしてもらえることが少ないということをよく聞きます。

大和田 片頭痛だということが既に分かっている患者さん340人を対象に調査をしたことがあります。その患者さんたちが以前、ほかの病院でどのような診断を受けたかを聞いたところ、「病名なし」が36.7%、「ストレス」が16.0%、その他「自律神経の問題」「ただの頭痛」「疲れ」、中には「頭痛なんかありません」と言われるケースもありました。

――「痛い」と言っているのにそれはひどい。

大和田 せっかく病院を受診しても75%ほどは、診断にたどり着いていないわけです。多くの人(85%)は市販薬で済ませていて、病院を受診する人はわずかに15%。そのうち診断にたどり着いた人は25%ですから、全体から見るとたったの4%なんです。あとは皆、適当にやり過ごしているのが現状なのです。

――そうした中には生活に支障が出るくらいひどい頭痛持ちの人もいるわけですよね。

大和田 ええ。以前私は、救命救急医療に携わっていましたが、ひどい頭痛を訴えて運び込まれる患者さんの中には、くも膜下出血など重篤な患者さんももちろんいますが、片頭痛の大発作や群発頭痛の人もいました。普通の外来で対応できたはずなのに、聞いてみると、どの病院に行っても相手にされなかったというのです。だからこそ、きちんと頭痛と向き合い治療する「頭痛外来」をやろうと思ったわけです。