東証1部上場のミサワホームが苦境に瀕している。バブル期の強気経営で過剰債務に陥り、トヨタ自動車と提携して再建を模索していたが、このところの住宅不況の波をモロにかぶった格好で今期は赤字決算が濃厚になっている。
頼みのトヨタも本業の自動車販売が不振でミサワ救済どころではない。当初からミサワの再生支援に懐疑的だった民主党政権下で、産業再生機構初の破綻企業になるのではないかと囁かれている。
経営総退陣求める内部告発文
「ミサワホームが大変な事態に陥りました。3月には初めて経験する社員の強制退職が行われ、立場の弱い社員は反発も出来ずに去っていきました。(業績が)悪くなるのを分かっていながら何も手を打てなかった統率責任者竹中宣雄氏(=社長)の責任は重い」
「経営危機に陥ったときに試されるのは経営者としての手腕ですが、(竹中社長は)就任時から危ぶまれていた策のなさがこの重大な局面に来ても変わりません。今年度の方針を聞いても何を言いたいのか全く不明」
これは「ミサワホームの再建を考える会」が全国2000人超の同社の部課長クラスに発信したA4判3枚に及ぶ内部告発文書からの抜粋だ。文書は経営の現状を分析したうえで、現経営陣営を批判し、総退陣を求めている。
ミサワは「街のプレハブ屋」から身を起こした創業者三沢千代治氏の下で多角化による急成長を遂げた。だが、バブル崩壊とともに過剰債務に陥り、自力再建を目指したものの頓挫。2004年7月に入ってメーンバンクのUFJ銀行(現三菱東京UFJ銀行)の要請で住宅事業も手掛けるトヨタによる支援話が急浮上した。
三沢氏の影響力を嫌ったトヨタは産業再生機構入りを条件に、同年末にミサワとの資本・業務提携を決定。トヨタは野村証券系の投資会社、野村プリンシパル・ファイナンスなどを合わせてミサワの議決権の33.4%を出資し、経営首脳を送り込むことになった。
この支援決定には小泉純一郎政権下の竹中平蔵経済財政担当相や奥田碩トヨタ自動車会長(いずれも当時)の意向も働いたとみられている。