2009年9月16日、鳩山新内閣が発足した。

皇居での親任・認証式が終了、鳩山内閣が正式に発足

鳩山内閣発足〔AFPBB News

 「脱・官僚依存」を掲げる与党民主党は高揚感に包まれている。自民党政権が成しえなかった大胆な「霞が関」改革を期待したい。衆院選マニフェスト(政権公約)を着実に実行していくのはもちろん大事だが、決してそれに縛られることはない。政権運営の現実に直面し、見直しを迫られる政策課題も少なくなく、「過ちを改むるに憚ることなかれ」。柔軟な対応を求めたい。(敬称略)

 鳩山内閣の顔触れを見ると、まずは党内の「実力者」あるいは「論客」が優先して選ばれたという点に気付く。

 ある民主党幹部は次のように指摘した。「第一に『弁が立つ』ことが重視された。国会できちんと答弁できなければ駄目。官僚に対しても、それぞれの政策課題で自らの考えをきちんとモノが言える人。官僚主導ではなく、政治家主導と言ってるんだから、その分野にも詳しく、実力ある人が選ばれたということだ」

皇居での親任・認証式が終了、鳩山内閣が正式に発足

副総理兼国家戦略相の菅直人氏(左)〔AFPBB News

 副総理兼国家戦略相・菅直人、外相・岡田克也、国土交通相・前原誠司と3人の民主党代表経験者を閣僚に起用するなど、新内閣はまさにオールスターキャストだ。

 また、農水相・赤松広隆(旧社会党系)、文部科学相・川端達夫(旧民社党系)、行政刷新担当相・仙谷由人(前原グループ)と各グループからベテランを選び、親小沢系も非小沢系も取り込んで党内バランスに配慮した「全員野球の布陣」(官房長官・平野博文)としている。

 ただ、非小沢系で幹事長代理の野田佳彦が外されたことは事実であり、民主党内では「幹事長・小沢一郎の恨みをかったため」との見方が強い。

「霞が関に負けぬ」人材登用、余人に代え難い藤井財務相

 一方、中堅・若手からの起用は少なく、民間人も登用しなかった。奇をてらうより、実務重視。首相・鳩山由紀夫はまずは手堅く、「霞が関に負けない」人材を登用したかったようだ。

 例えば、財務相に就任した藤井裕久。当初、議員引退を表明していたから、「ノンバッジ」で事務の官房副長官として首相官邸入りするとの観測が浮上していた。また、藤井は一時、岡田を財務相に推していたとの話もある。

 しかし鳩山にとって、旧大蔵省(現財務省)出身で財政・税制などを知り尽くす藤井は、余人をもって代え難かった。藤井は引退を撤回し、衆院選比例代表南関東ブロックで処遇されて当選。「藤井財務相」に幹事長の小沢一郎が難色を示しているとの情報が流れ、調整は難航した模様だが、最終的には77歳の藤井が重要閣僚に起用された。